基本を知ろう! 服のシワの描き方
2020.04.13
今回のテーマはシワの描き方です。前回の「基本を知ろう!服のシワの描き方」の内容を踏まえて、メイキング形式で服のシワの描き方を紹介します。
シワと一言でいっても様々な生地によってシワの出来具合は変わってきます。今回はよく描かれる題材で、区別しやすい「シャツ」と「カットソー」の描き方を順に追いながら紹介していきます。シワのコツを掴んでいきましょう。
▼目次
人物を描くとき、いきなり服を来た状態ではなく、素体を描いてから服を着せていく描き方をおすすめします。服から描くと、服の中にある人体を忘れがちになるので慣れるまではしっかりと素体を描いてから服を描いていきましょう。
素体を描いたら、服を着せていきます。
実際のところカッターシャツのように伸縮しない生地は、作例のようにフィットさせると動きにくいです。ですが、イラストの場合は身体の線に沿って描く方が見栄え良く仕上がります。
線画を描きます。
線画の段階でどこまでシワを入れるかは完全に好みですが、シワを追い過ぎるとごちゃごちゃするので描きすぎないようにしましょう。
今回は「シワ」がテーマなので、あえて線画でわかりやすく多めにシワを追っています。
下塗りです。
今回はシワを分かりやすくする為、多少光沢のある生地のイメージで塗っていこうと思います。
ここからは重要なポイントである塗りの描写です。塗るときに必ず光源を意識しましょう。光源を意識して塗ることでシワの立体感を表現できるからです。
今回は光源を左上に設定しました。光源を意識して、大まかに影を落としましょう。その後、一段階暗い影を落とすことでより立体感があるように見えます。
えりの部分が暗いのは、首の上には頭があることを想定して暗めの影を落としたからです。
さらに一段階、影を落とします。
シワの線に気を取られすぎないように、大きくざっくり落としてからシワ部分に影を入れるのがコツです。
光が当たっている部分を描いていきます。
光沢がある生地の場合、明るい部分と暗い部分の境目にハイライトを入れると光ったような表現ができます。
金属などを描く際と同じ考え方で大丈夫ですが、やりすぎると布がどんどん硬くなっていくのでほどほどにしましょう。
一番暗い部分に影を落とします。
暗い色を多用すると濁りやすいので、ポイントを絞って手数少なくいきましょう。
カッターシャツの完成です。
シャツのシワはわかりやすい分、不自然に見えやすいので実物をよく観察してシワのクセを覚えましょう。
続いてはカットソーです。薄めの体にフィットしたヒートテックの様な生地を想定しています。
柔らかい素材なので、シワも柔らかく体に沿わせます。
下塗りです。今回はピンク色で塗っていきます。
柔らかい生地なので、ぼかしたブラシで全体に大まかな陰影をつけていきます。
影を表現していきます。
お腹周りのような広い面積はとっかかりがないので躊躇しまいがちですが、度胸と勢いでがっつりと影を落とします。
照り返しなどの明るい部分を表現していきます。
明るさを表現する際に、新しい色を使わず消しゴムだけで表現することで色味が崩れないです。
光源の逆方向も多少照り返しを削っていますが、やり過ぎると光源がわからなくなるので注意してください。
一段階暗い色で影を落とします。
明暗のトーンを増やすことでより立体感がでます。柔らかい生地なのでやりすぎないようにしましょう。
一番暗いところに影を入れます。これによって全体の色味がしまって見えます。
細かいテクニックとしては、肘あたりのシワが見られるように、明暗の境目にワントーン暗い色で仕切りを作りました。
最後に、一番明るい部分を描いていきます。光源は左上の設定なので、左側中心にハイライトを入れます。
完成です。
必要があれば色調整しても良いかもしれません。
服のシワを段階的に追って掘り下げてみました。身に付けるものすべてにいえるのは、中身(人体)があるということです。シワに意識がいくあまり、バランスを損ねないようにしましょう。
フリーのイラストレーター。主に広告系イラストとソーシャルゲームイラストを制作させていただいております。
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