もぎたてジューシー!果物の描き方 ~イチゴ・レモン~

もぎたてジューシー!果物の描き方 ~イチゴ・レモン~

背景の一部として四季折々の季節感を演出したり、美味しそうなデザートにちょこんと乗っていたり、フルーツを描く機会は意外と多いのではないでしょうか。

 

果物を描く時はデジタルイラストならではの技術を駆使して、みずみずしいフレッシュさ、つやつやした果肉のジューシーさを表現できるかどうかがキーポイントとなります。

 

今回はそんな果物の中から苺とレモンの描き方をメイキング形式で細かく丁寧に解説していきます。

 

▼目次

 ① 下描き
 ② ペン入れ
 ③ 陰影
 ④ ハイライト(その1)
 ⑤ 照り返し(反射光)
 ⑥ 種、ハイライト(その2)
 ⑦ ヘタ、完成
苺(断面)
レモン
レモン(輪切り)

 

 

① 下描き


果物は自然の物なので、種類や個体差で形が違います。イメージのみで描かず、必ず実物を見たり、写真などを見たりしてよく確認しましょう。

 

苺は三角形で細く尖った形のものと、ころんとした形の二種類をよく見かけます。果実の部分は角度を変えても見え方はほぼ一緒ですので、ヘタの向きを変えて角度を表現しましょう。格子状にラインを引いた交点に種があります。

② ペン入れ


今回はアウトラインだけペン入れして後は塗りで表現します。

 

デフォルメが強い絵柄やアニメ塗りの場合は種までペンで描き込んでしまっても良いですし、リアル調の絵柄や厚塗りの場合はいきなり下塗りからスタートしてOKです。自分の絵に合わせて違和感のない方法を選んでください。

 

色塗りの際に種の位置が重要なので、アタリ線を引いておくか種を描き込んで下さい。

③ 陰影


ベースに鮮やかな赤を塗り、その上に影を入れて行きます。種の部分はへこんでいるので影ができます、点々と暗くしましょう。その後輪郭が消えすぎない程度にぼかしを入れました。

④ ハイライト(その1)


新規レイヤーを作成しアタリを避けて白で格子状のハイライトを入れ透明度を下げます。全工程で共通ですが、全くぼかしを入れなければアニメ塗りになり、ぼかしを強く入れるとリアル風になります。こちらも自分の絵柄と相談してください。

⑤ 照り返し(反射光)


新規レイヤーを作成し、影になっている部分の外側に青系の色を入れます。その後見えるか見えないか位に透明度を調節します。

⑥ 種、ハイライト(その2)


アタリ線の交点に種を描き込んでいきます。あまりにきっちり規則正しく並べると違和感が生じるので、多少ずらしたり種のサイズを変えたりして不規則にすると良いです。果肉に厚みもあるので正面以外の種は細くしていくと、イチゴの丸みや立体感を自然に表現できます。


次にハイライト①の上から強い光を入れます(ハイライト②)。ここでは真っ白を使用し、ぼかしを入れると瑞々しさが失われるのでエッジを立てるようにはっきりと入れましょう。

⑦ ヘタ、完成


主役は果肉の方なので、邪魔にならないようあえてヘタは省略気味に塗りました。葉っぱの形を意識して大まかに色分けをし、新規レイヤーを作成して乗算で影を入れます。苺の完成です!

苺(断面)


断面は艶がないので一枚のレイヤーにどんどんと塗り重ねていきます。もっさりした感じでオッケーなので、特にハイライトなども入れずに完成です。

レモン


レモンの特徴の両端のでっぱりはヘタがある方が鈍角で、無い方は尖っています。また角度によってでっぱりが見えなくなるので注意してください。イチゴと同じで線を描くか下塗りからスタートするかは絵柄に合わせてください。

 

ベースに鮮やかな黄色を塗っていきます、いわゆる「レモンイエロー」と言われる色を選ぶと良いと思います。影を入れる際、表面のでこぼこを表現するために塗りムラを付けます。次に輪郭が消えすぎない程度にぼかしを入れました。

ハイライト①を入れて、明るい部分をより明るくします。次に新規レイヤーを作成し、苺の時と同様に陰になっている部分の外側に青系の色を入れます(照り返し)。


ハイライト①の上から強い光を入れます(ハイライト②)。やはりここでも真っ白を使用し、ぼかしを入れると瑞々しさが失われるのでエッジを立ててはっきりと入れましょう。これでレモンの完成です。

レモン(輪切り)


内側の描写は塗りで表現するので、下書きではアウトラインだけ引きました。レモンの果肉は8~10個に分けるとそれらしく見えます。

 

このほかにもいろいろなカットがありますので、丸ごとの描き方と合わせてアレンジしてみてください。


下塗りでは黄色系の色をランダムに使い、中心から外に向け放射状に線を引いてきます。輪郭が消えすぎない程度にぼかしを入れました。


次に新規レイヤーを作成し乗算で影を入れます。果肉のつぶつぶ感を意識しつつ、影を描きこんでからぼかします。


アタリを参考にして外果皮(黄色い部分)と内果皮(白い部分)、中心の部分を加筆していきます。それぞれ新規レイヤーを作成しました。色ムラをつけたり影を塗ったり、厚みも表現してください。


新規レイヤーを作成しスクリーンでハイライト①を入れます、果肉のつぶつぶに沿って線を引くイメージです。


最後にハイライト①と同じようなイメージで真っ白のハイライト②を入れます。やはりぼかしを入れると瑞々しさが失われるので、ここでもエッジを立ててはっきりと入れましょう。これでレモンの輪切りの完成です。


レモンの輪切りは色相や彩度を変更すればオレンジやライムにアレンジもできます!

著・画 珠樹みつね

イラストレーター。ソーシャルゲームのカードイラストを中心に、3DS用ゲームの背景や食玩のオマケイラストなどジャンルを問わず活躍。Webのイラスト講座なども多数手掛ける。

 

ホビージャパンより著書「CLIP STUDIO PAINT キラキラの描き方 宝石・鉱物・金属などを輝かせる塗り絵テクニック」好評発売中。

 

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