ストーリーが浮かんだら原稿用紙に直接コマを割って絵を描き、1ページごとに仕上げる…こんな流れでマンガを描いてみた方も多いはず。
ただ、そのほとんどの方が途中で投げ出してしまったのではないしょうか?プロだってそんな描き方をすれば限られたページ数で収まらず、ストーリーが破状したり、コマのバランスが悪くなります。
では、どのような手順でマンガを描けばよいのでしょうか?マンガはいきなり原稿用紙に描きません。実は効率的に描ける手順があるのです。
今回はプロも実践している「マンガ制作の手順」をわかりやすく紹介します。
▼目次
マンガ制作の手順
① プロットを書く
② キャラクターを設定する
③ シナリオにする
④ ネームを切る
⑤ 原稿用紙に描く
⑥ 製本
マンガ制作の手順
① プロットを書く
上のテキストは例題用に制作した「ナース戦士 Wエンジェル」(4ページマンガ タイトル1P・本文3P)のプロットです。
まずはお話のイメージが浮かんできたら大まかなあらすじ<プロット>を作ります。主人公が誰なのか?物語がどんな方向性(テーマ)に進んでゆくのか?
ストーリーの流れをはっきりさせておく事で、この後の作業がスムーズになります。プロットの形式は作家さんによって様々です。自分で分かる文章で構わないので自由に書いてみましょう。
② キャラクターを設定する
<プロット>が出来たら、主な登場人物<キャラクター>のビジュアルや性格をはっきりさせます。
コスチュームや小道具を決め、全身ポーズや表情カットを描き、名前や性格付け、好き嫌いや癖、弱点などを考えてキャラクター性を明確にしましょう。ちょっとした経歴などを作ってみるものよいでしょう。
③ シナリオにする
次は物語の台本<シナリオ>を作ります。登場人物達がどこにいて、どんな会話をして、何をしているのか?ストーリーの流れに沿って書きます。
プロット同様、本格的な映画やドラマのシナリオではないので、自分で分かれば形式にこだわる必要はありません。プロの連載作品ではこの工程を省略する事もありますが、短編作品を描く場合はここできちんとシーンやキャラクターのセリフをはっきりさせた方が効率的です。
また、図に「②,③,④」と数字が振ってあるのに注目してみましょう。次の作業に入りやすいように、シナリオが出来たらココでページの分配をするのがポイントです!
④ ネームを切る
<シナリオ>が出来たら<ネーム>を切ります。<ネーム>とはドラマやアニメ制作の工程でいう絵コンテになりますが、「ネームを描く」とは言わず「ネームを切る」と言います。
マンガの場合フレーム(コマ)にバラつきがあったり、フキダシがあるのが特徴のため、<ネーム>はマンガ制作の一番のキモと言われます。
もしプロを目指すなら最低限キャラクターの顔や位置関係、キャラが何をしているのか分かる用に描きましょう。ほとんどのプロは<ネーム>で編集の方からOKが出てから原稿に入ります。
また、プロ志望でなくても丁寧な<ネーム>はこの後の<原稿用紙に描く>工程がとても楽になりますので『人に見せるマンガの設計図を作る』つもりで描いてゆきたいものです。
⑤ 原稿用紙に描く
<ネーム>が出来たら、いよいよ原稿用紙に描きます。投稿や持込みを考えている方は市販のB4サイズ、趣味で描きたい方はA4サイズの原稿用紙に描きましょう。
デジタルで描く場合も同様のサイズで設定します。出来るだけ丁寧に、きれいに仕上げる様、心がけましょう!
⑥ 製本
<製本>されると<原稿用紙>の段階で描かれていた絵が、一回りカットされているのが分かるでしょうか?丁度A4サイズの原稿だと、まわりを切り取ってB5サイズの本になる-と考えてよいでしょう。
印刷所によって裁断される(切り取られる)スペースが若干異なりますので、印刷されて紙いっぱいに見せたいコマはB5サイズのスペースより余分に描くのがルールになります。
セリフ部分は「写植」と呼ばれるフォント化したものが貼り付けらます。マンガ誌では「写植」は編集部で行いますが、同人誌を作る際にはデータ上で貼り付けるか、フォント化したものを印刷して貼り付けます。
①プロット→②キャラ設定→③シナリオ→④ネーム→⑤原稿→⑥製本の順で説明してきましたが、①と②が逆でも構いません。プロは連載を開始し、慣れてくると①②③を省略していきますが、短編を描く場合はほぼ同じような流れで制作するのです。
描き始めて間もないみなさんやこれから始められる方は、この流れで進めるのが確実に完成出来る方法でしょう。慌てないでひと工程ずつ着実にやれば、みなさんもマンガが一本描けるはずですよ!
著・画 管 清和(かん きよかず)
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複数の専門学校にてマンガ・イラスト学科をプロデュース。多くのマンガ家・イラストレーターを業界に輩出している。BS11で放映された『ゼロから始めるマンガ上達塾』ではKAN塾長として出演。 著書に「マンガベーシックテクニック」「なぞって上達 マンガ 手と足の描き方」がある。