そのパースあってる? 広角と望遠から考える背景講座
2017.05.31
レンズから考えるパース講座です。前回では広角と望遠について説明しました。まだ読んでいない方は「そのパースあってる? 広角と望遠から考える背景講座」をご覧ください。
前回に引き続き、今回はもっと具体的にキャラの広角と望遠の見え方について説明します。
理解が深まると、上図のようなダイナミックな構図が描けるようになるので意識してみてくださいね。
▼目次
本当はどちらも間違ってはいません。
ですが、この二人を同じ画面に配置すると……
カメラとの距離が異なります。実は望遠レンズを使って、右の絵を左と同じ大きさになるように見せていました。
前回でも述べましたが、遠くのものほど奥行きがなくなります。これをキャラクターで表現すると上の画像のようになるんですが……理解が難しいですね。
より理解できるよう、カメラとキャラクターの「距離と関係性」について探ってみましょう。
奥行きが分かりやすいように、手前に杖を出している魔法少女キャラを置きました。
「正面」がキャラの見え方、「真上」が画角(見えている範囲)。「真横」がカメラマンとの距離です。なるべくキャラの中心の大きさが変わらないように、レンズと距離だけ変えて撮ったイメージです。
よく使う一般的な距離感。多くのイラストはこの標準レンズで描かれています。
広角レンズにし、カメラとの距離を近くしました。
距離が近くなった分、手前にあるものはより手前に、奥にあるものはより奥に見えてきます。
さらに画角を広げ、カメラに近づけました。
キャラとカメラの距離は短くなり奥行きが広がったことで、くまの妖精がより遠くに。地面はゆがんだように見えます。
次は、中距離から離れた絵です。
奥行き感が弱くなるので、中距離と比べると奥のものは手前に出てくるように、手前のものは奥に向かうようになります。つまり全体的にキャラ周りの空間が縮んだようなります。
空間が縮んで手前と奥の形の大きさの差がなくなり、平面的に見えてきます。さらに回り込みなどの立体感がなくなり、くまの妖精も隣にいるのか奥にいるのかわからなくなります。
この画面の利点は、キャラクターと物の対比がわかりやすくなるので、説明を優先するような絵に向いています。
例えばこの画角はこんな感じで使われています。
この5枚の画像をアニメーションにしたのがこちらです。
キャラクターも距離が遠くなるほど、奥行き感がなくなり平面的に見えてきます。
背景にキャラクターを描いたとき、なんか馴染んでないなと思った方。そんなときはキャラの奥行きと背景があってないのかもしれません。
自分の大好きなイラストやゲームのパッケージ、漫画などを見て、広角のキャラや望遠キャラを見つけてみましょう! 少しでも広角、望遠のイラストに興味をもっていただければ嬉しいです。
元アニメーターのMUGENUPイラストレーター。