完成イラストがもの足りないとき、絵のクオリティアップさせる テクニック3選

完成イラストがもの足りないとき、絵のクオリティアップさせる テクニック3選

時間をかけたイラストが完成すると、達成感がわきますよね。しかし、時間が経つにつれて「何かもの足りない……」と感じることはありませんか?

 

これは作業に集中して気が付かなかったことが、後々、客観的に見え始めるためです。時間をかけた部分が意外と目立ってなかったり、ラフのイメージとずれていたりと、絵を描いているとよくある経験です。

柳葉キリコ 

今回は完成イラストがもの足りないと感じたときに使えるワンポイントテクニックをご紹介します。作品を発表する前に、一度加工や調整をすることでイラストのクオリティをグンっと上げられるのでオススメです。

 

▼目次

小物と模様で立体感と密度を高める

イラストを引き立てる加工テクニック

加工前にデータ保存を!

ガウスぼかし

色味調整

レベル補正

イラストのクオリティアップを役立つエフェクト

陽光

塵(空気感)

まとめ

 

 

小物と模様で立体感と密度を高める

こちらのイラストですが、パッと見、単調でペタッとした印象でもう少し密度がほしいと思いました。自分で決めていたテーマに豪華絢爛もあったので、小物を増やして華やかさと密度を増やしていきます。

柳葉キリコ

小物を増やすときは「イラストの世界観や雰囲気に合うものを選ぶこと」、そして「イラストにマッチする色味にすること」に気を付けると調整しやすいのでオススメです。

 

この絵は中華風の豪華な客間を想定した背景なので、中華風の吊るし飾りを描きます。前面に置いて、一つひとつの角度を変えると立体感が出て見栄えが良くなります。また、イラストのテーマカラーが赤なので、赤をメインに目立ちすぎないよう、背景になじませます。

柳葉キリコ

豪華にみせるため、椅子に模様を追加しました。

金や銀の装飾はアイテム全体にベタっとつけるのではなく、端に少し描き込むと装飾が主張しすぎないので良いでしょう。

イラストを引き立てる加工テクニック

加工前にデータ保存を!

次に加工で絵全体の雰囲気を調整していきます。

 

この段階で作業レイヤーが大分多くなってきたので、別名保存してから人物、背景、前景ごとにレイヤー統合した上で作業を進めています。加工データは重くなりやすいので、加工用にデータを作ると後々の制作がスムーズになります。

ガウスぼかし  

柳葉キリコ

写真撮影にも使われるテクニックです。モチーフより奥や手前のものをぼかすことで画面に臨場感がでます。また、メインのモチーフに視線を向かいやすくなります。今回のイラストでは手前の灯篭にガウスぼかしをかけました。

色味調整

色味を調整する前に「何を目立たせたいか」、そして「時間帯」を考えましょう。目的がないまま色を変えると、もともとのイラストにあった立体感やテーマが分かりづらくなる恐れがあるので注意しましょう。

 

今回のイラストでは

  • 主役となる男性キャラを目立たせる
  • 時間帯は日の出あたり(お正月イラストなので初日の出イメージです)

を意識して作業を進めました。

柳葉キリコ

まず、イラスト全体の色味から調整していきます。室内の光源でできる影を乗算やハードライトでつけていきます。もう少し室内らしさを出すため 手前(黄色っぽく)→奥(ピンク、紫)とグラデーションを駆使して奥行き感を出しました。

 

キャラと背景が被さってしまった部分にハイライトをつけると境界線が見やすくなります。太陽の光が強いことを想定し、キャラの輪郭に沿って強めのハイライトを入れました。光が強くあたる場所には黄色よりのオーバーレイをつけて、光っている雰囲気を強調させます。

レベル補正

柳葉キリコ

画像の色を調整するツールはとても便利ですが、種類が多く、使いにくいのもしばしばあるので、慣れるまでなかなか大変です。

 

そこでオススメしたいのはレベル補正です。画面の色を「暗い部分」「中間」「明るい部分」の3つに分けて調整できるシンプルなツールで、基本的にそれぞれ3つのバーをスライドさせるだけなので初心者でも扱いやすく、少しいじるだけでも十分に印象を変えられます。

 

私(著者)の場合は色味のコントラスト(明るい部分をもっと明るくしたり、暗い部分をもっと暗くしたり)を上げるためによく使います。完成前の仕上げで活躍する便利なツールです。

イラストのクオリティアップを役立つエフェクト 

ここからはエフェクトを使って密度を増やし、クオリティを上げていきます。今回取り上げるエフェクトは煙と陽光です。

柳葉キリコ

より華やかさを出すためにはどうすればいいかと考え、お香をたいた部屋にすることにしました。

 

お香の煙は窓の景色→男性キャラ→子供キャラの視線をつなぐように描き込みました。エフェクトをつける際には構図の流れを補佐するときれいに仕上がります。

陽光

陽光はレイヤーを発光モードにしてエアブラシで描き込みました。加工の段階でつけたハイライトと、新たに描き足す陽光で強い光があたるところを演出します。

塵(空気感)

空気中の塵の反射をイメージしているのですが、これがあることで画面の景色に臨場感が出て、世界観がグッと増します。

 

以上、これらエフェクト追加でイラストクオリティアップに繋がるはずです。ただしエフェクトを入れすぎるのは注意しましょう。何を主役にしたイラストかわからなくなります。

 

エフェクトの使い方はこちらの記事を参考に。

まとめ

柳葉キリコ

今回の要点をまとめると

  • 加工の前にメインモチーフと時間帯(または全体の色味)を決める
  • エフェクトはメインが目立つように配置する

この二つを意識すればイラストをきれいに仕上げられる手立てとなります。


細かいテクニックの紹介となりましたが、アップロードする前のひと手間でイラストの完成度が大きく変わるので根気よく粘ることが大事かなーと思います。イラストのキャラや世界観をどうすればもっと魅力的にみせられるかはなかなか難しいですが少しでも参考になれば幸いです。

著・画:柳葉キリコ

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2015年12月からフリーランスのCGイラストレーターとして活動。(関西在住)
乙女系コンテンツを中心にスチルやカードイラストを担当。


2016年11月「ツキウタ。 THE ANIMATION」イラストコンテストにてツキプロ賞を受賞。

いちあっぷ講座では中級者向けにメイキングや解説講座を、これまでに10回ほど執筆。

 

2017年2月以降のスケジュール空いておりますので、何かございましたら、上記メールフォームまでお願い致します!