今回は「背中の描き方」がテーマ。
背中はごまかしが利きにくく、描き分けづらい部位です。上手に描くのは難しいですよね。
コツはいくつかの外見的、構造的なポイントを、順を追って押さえていくこと。
そこで今回は女性と男性、それぞれの背中の描き方を中心にアタリの取り方からご紹介します。
シルエットの特徴を覚えよう
男女によって背中のシルエットは異なります。
大まかな違いは
女性:おしりが横に広い△型のシルエット
男性:肩幅が広く腰幅が狭い▽型のシルエット
です。
それでは、部分的な要素を見ていきましょう。
肩幅の違い
リアルな頭身を元に、理想的な人体の肩幅の比率は、
女性:頭2つ分
男性:頭およそ2 1/3つ分
男性の方がやや肩幅が広いです。
ウエスト位置の違い
女性と男性のウエスト位置の違いは非常に重要です!
女性のウエストが肋骨のカーブのすぐ下に位置しているのに対し、男性のウエストはそれより下、へそと同位置かやや下に位置します。
腰にかけてのラインの違い
背面のラインには、
- 肋骨(広背筋)のカーブに沿ったライン
- 腰(腸骨)にかけてのライン
- 腰から太ももにかけてのライン
とお大きく分けて3つのラインがあります。
ここでも男女のシルエットの差に対応し、女性は一度ウエストでくびれ、徐々に横に広がっていくライン。男性は広背筋から逆三角形にすぼまり、一度腰に引っかかるようにして、横にあまり広がらず臀部へと流れていくラインをしていることを確認してみましょう。
背面が描けるようになるアタリの取り方
アタリ→構造→形の順で理解しながら描き進めていきます。
1.アタリ→構造を描けるようになろう
▼基本のアタリを描く
楕円を二つ描いて、それぞれを線でつなぐ。基本のアタリはたったこれだけです。
上の楕円は胸郭を、下の楕円は骨盤を表し、線はそれぞれ胸部から臀裂、また腰から首につながるラインを表しています。
▼頭部と肩のアタリを描く
上にもう一つ球体を描き足し、頭部のアタリとします。腰から首につながるラインが後頭部まで繋がっています。
胸郭には肩のアタリ線を引いておきます。
頭部から臀部まで繋がる体の中心線も描いておきましょう。今回は後ろ正面から見た図なので直線ですが、角度のついた背面を描くときには背骨に沿ったS字カーブを描きます。
▼アタリに形のヒントになる構造を描き込む
肩と腰に横向きのラインを引き、僧帽筋と、骨盤の蝶々型を描きこみます。
(便宜上骨盤と呼びますが、私は骨の形というより、腸骨稜から大殿筋に続く臀部の肉を肉付けする土台、という感覚で捉えています。)
なぜこの二つが重要かというと、僧帽筋は背面だけでなく、横・斜め・アオリ向きのポーズにも影響します。また、骨盤が意識できていることで、臀部から大腿部にかけての肉付きがとても説得力のあるものになるのです。
■ 僧帽筋の取り方のヒント
肩を結んだ線と中心線からなる十字線に、まず交点を中心に小さくダイヤ型を描きこみましょう。そのダイヤ型を囲むようにさらに加筆し、逆さ向きの矢尻のような形にします。
骨盤の取り方のヒント:腰の線と中心線、また胸部から臀裂に向かうアタリのラインが作る、小さな▽を見つけましょう。さらに加筆し、アタリの丸に収まるような蝶々型を描きます。
2.構造→形と筋肉の描きこみができるようになろう
この段階から解剖学的な特徴やプロポーション、個々の体型差を意識していきます。アタリに線画をかぶせたものを参考に、ポイントを理解しましょう。
ウエストラインの求め方
最初のアタリで引いた二対の線の交差点が、女性のウエストラインと一致します。男性はその交差点から骨盤の上に乗っかるように薄く肉付けをし、背面から見える外腹斜筋を表現します。
またアタリの胸部から臀裂まで続くラインが、広背筋の位置とほぼ一致していることも意識すると良いでしょう。
女性の僧帽筋は薄く、男性は厚く
女性は男性と比べて僧帽筋の盛り上がりを薄くします。また、骨盤を男性に比べてやや横長に描くと良いでしょう。
肩~背中につく筋肉はとても複雑ですが、肩甲骨がその主な土台となっています。僧帽筋のラインを参考に肩甲骨の位置をまずしっかりと決定しましょう。そうでなければ、資料を見ながらやみくもに描きこんでも説得力が生まれず、すべて無駄になってしまいます。
様々なポーズを描いてみよう
いきなり線を描き始めるのが難しければ、手元の資料や写真にアタリを描きこんで練習してみるのも一手です。
写真やモデル人形を参考にするだけでは、つい表面上の筋肉の隆起に惑わされ全体の構造が分かりにくくなりがち。
今回説明した方法を参考に、構造の基礎を押さえながら、説得力のある背中を目指しましょう。
著・画:仲間安方(なかまやすかた)
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皆さんのお絵かきの、「できた!」と思える一瞬のお手伝いができれば幸いです。