比率のバランスから学ぼう! 斜め顔と斜め後ろから見た顔の描き方

比率のバランスから学ぼう! 斜め顔と斜め後ろから見た顔の描き方

魅力的な顔の描き方を習得することは、イラストレーターにとって永遠の課題ですよね。まずは顔の基礎となるバランスや描き方の基礎を学んでみませんか?

 

リアルな人物の顔の描き方をアタリから説明した「正面顔と横顔の描き方」に引き続き、今回は斜め向きの顔と、斜め後ろ向きの顔の描き方がテーマです。

ポイントは、「プロポーション(比率のバランス)」「立体感の捉え方」。使用頻度の高い斜め向きの顔だからこそ、しっかりと理解して描けるものが増える実感に繋げてみてください。

 

▼目次

斜め向きの顔の描き方

アタリのベースを描く

基本となるアタリを取る

アタリをもとに頭蓋をかぶせてバランスを確認

男女の描き分けなど

斜めからパーツの構造を理解する

斜め後ろ向きの顔の描き方

アタリの基礎となる円と補助円を引く

基本となるアタリを取る

アタリに頭蓋をかぶせてバランスを確認

男女の描き分けなど

首をかっこよく描くヒント

二人以上の人物を同じ画面内に描く

より深い構造から理解し組み立てよう

 

 

 

斜め向きの顔の描き方

1.アタリのベースを描く 

斜め顔

アタリの取り方」を参考に、基本のアタリを描きます。

顔の中心線は、視線の方向を決定する重要な線です。この縦線を球体のどこに持ってくるかで顔の角度が決まります。

2.基本となるアタリを取る 

斜め顔

顎の▽(逆三角形)は、耳の線を縦に下した線が球と交わる点を目安に描きましょう。

他パーツのアタリは正面顔と同じ比率です。

斜め顔 

生え際、眉、目、鼻下、顎位置を表す線はすべて、顔の中心線を基準にして赤道に対して水平にあらわされます。顔の上下の傾きに応じて弧を描いていることに注目してください。

3.アタリをもとに頭蓋(ずがい)をかぶせてバランスを確認 

斜め顔

アタリの上に頭蓋をかぶせて描いたものです。今回も分かりやすく解説するために頭蓋をかぶせているので、通常はこのように頭蓋をかぶせる必要はありません。

 

眼窩(がんか・眼球が入っている頭骨前面の穴)の位置は眉線のやや下、目の高さの線に眼窩がやや被るように描きましょう。

 

また、アタリの補助円の位置が、こめかみの位置に対応していることを再度確認しましょう。後頭部は、実際の頭蓋骨の形に近づくよう、基本の球に盛るようにやや厚みを付け足します。

4.男女の描き分けなど

斜め顔

男性は顎のラインをしっかりと、女性はやや柔らかなラインを意識しましょう。

成人男性の首周りは筋肉の厚みを意識して、女性よりも厚みをもたせて描きましょう。

5. 斜めからパーツの構造を理解する

斜め顔

眼球は、眼窩にやや外寄りにはまっています。

また、眉の始点から目頭までは少し奥行きがあり、彫りが深い人ほど影が落ちます。通常の眉を描く際、眉の始点は目の斜め上に位置していることに注意しましょう。

斜め後ろ向きの顔の描き方

1.アタリの基礎となる円と補助円を引く 

斜め顔

アタリの基礎を描きます。耳の位置を表す線は、球を縦に二分割する位置より片側に寄っています

2.基本となるアタリを取る 

斜め顔

基本のアタリを描きます。こめかみの位置を表す補助円と中心線の間に、目と眉が収まります。

3.アタリに頭蓋をかぶせてバランスを確認

斜め顔

頭蓋の、こめかみのラインにかぶせるように、目玉の穴(眼窩)を描きます。

 

こちらも同様に頭蓋でのバランス確認は、解説を分かりやすくするためですので、必ずしも行う必要性はございません。

斜め顔

斜めを向いた顔同様、パーツの高さを表す線が、球体の赤道と水平に並んでいることを確認しましょう。

 

後ろを向いた顔を描くと、球体の背面(後頭部側)にも中心線が現れます。この中心線は、頚椎(けいつい)、脊椎(せきつい)を通って臀部(でんぶ)へとつながっていきます。全身を描くときにも必要になるので、同時に意識してみましょう

4.男女の描き分けなど

同じアタリの上に、男性と女性の顔を描きこんだものです。

斜め顔 

顎のラインと、首のラインとの関係に注意しましょう。喉の始点は、顎のラインの内側にやや入り込むように描きます。後ろから見たときの、耳の見え方に注意しましょう。

首をかっこよく描くヒント 

斜め顔

首のアタリは頭部のアタリに接続した円柱で表されますが、最終的な首のラインはその上に乗った筋肉のボリュームで決定されます。覚える筋肉は、胸鎖乳突筋と僧帽筋のふたつです。

斜め顔

僧帽筋は、背面から見たときだけでなく、正面や斜めから際に見た目にも影響しています。胸鎖乳突筋は、鎖骨の付け根から耳の後ろの頭蓋骨まで繋がっています。


僧帽筋は、盆の窪のあたりからはじまり、肩甲骨の上部にくっついています。僧帽筋のつき方については、「背中の描き方」も参考にしてみてください。

女性や高校生くらいまでの若者は、筋肉の厚みを薄く描いたほうが華奢なイメージがつけやすいです。筋肉のボリュームを出すほど、より筋肉質でがっちりとしたイメージになります。

 

筋肉のボリュームは左右対称ではなく、首を傾ける、肩を回すなど、体の動きに応じて伸長・収縮し、見た目のボリュームが変化することを覚えておいてください。まずは首のラインを描いてみて、そこに違和感があるようであれば、その下の構造に立ち戻って違和感の原因を探ってみるようにしましょう。

二人以上の人物を同じ画面内に描く

斜め顔

最後に斜めを向いた顔の応用として、二人以上の人物が登場するシーンをもとに、描き方のポイントを説明します。

 

初心者が同じ画面に二人以上を描く際起こりがちなのが、頭の大きさやバランスがそろわないことです。頭骨のアタリとなる球の大きさを目安に、頭の大きさを合わせてみましょう。二人の目線が合わない、同じ空間にいるように見えない、そんなときには、目の高さ、胸の高さなど、ひとつ合わせる高さの基準を設けると良いです。

斜め顔 

3人以上の人物をひとつの画面に描く際も同様です。

一画面に複数人の人物が描けるようになると、人物と人物との関係性が描けるようになります。アタリの描き方の習得と共にぜひ習得して、表現を深めてみてください。

より深い構造から理解し組み立てよう

基本的なアタリの取り方の説明から始まり、正面を向いた顔、横向きの顔、そして斜めを向いた顔、後ろを向いた顔、までを説明してきました。だんだん、頭蓋から始まる構造に基づいた人物の顔の捉え方、比率を意識したパーツの配置、などの作業に慣れてきたのではないでしょうか?

 

どのようなジャンルでも、イラスト上の人物は「現実の人物をデフォルメ表現したもの」です。表面的に見えるものをなぞるだけでなく、より深い構造から理解し組み立てることで、同じ一本の線が表現できること、その一本の線が次の一本の線とつながる意味が見えて来るのではないかと思っています。

 

次回は難易度が高い「あおりの角度がついた顔、伏せた顔」の描き方を説明します。最後までよろしくお願いします。

著・画 仲間安方(なかまやすかた)

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