男女の着こなしには違いがある! イラストに活かせる着物の基礎知識
2016.09.23
前回の「イラスト制作に役立つ着物の基礎知識」に引き続き、今回は「着付け」についてご紹介します。
前回と同様に着物は人気モチーフのひとつですが、実際に着物を着る機会は少なく、着物に対する知識を得る機会は多くありません。ですが、着付けに必要なものや手順などをおさえておくと、イラストに描き起こす際に様々な場面描写に対応できるようになりますよ。
今回は詳細な説明となりますが、「どれくらいの枚数を着込んで、着物のシルエットが作り上げられているか」を知ってから描くと、イラストに説得力が湧きます。そして描いていてさらに愛着が湧くはずです。
ここから是非、着物の世界への第一歩を踏み出してみてください!
まずは、着付けに必要なものを紹介します。
外見からだと、見えることはありませんが着物にも下着があります。
肌襦袢の上に着る着物です。
着物の襟元からチラッと見えるのは、この長襦袢です。外見からのイメージが先行すると、肌着である襦袢の存在に気づきにくいので覚えておきましょう。
※男性用の「男締」というのもあります。また「伊達巻き」というのもあります。伊達締と伊達巻の違いは長さです。
伊達締が短く、伊達巻は長いものになり、通常の着付けでは「伊達締」を使います。伊達巻を使うのは、花嫁衣装などの着付けの際です。長さは違いますが、どちらも着崩れを防ぐ・ボディラインの補正に役立ちます。
みなさんのよく見る着物です。
※帯留めは使わない場合もあります。
ここからは着付けの手順を紹介します。
女性の裾よけは肌襦袢の上から巻きつけます。
男性は使わない場合もあります。
長着を着て衿先を合わせ、裾の高さを調整します。後ろはかかと、前は足の甲あたりの高さを目安に。このとき、上前が少し上がるようにするときれいです。後ろから見たときに腰から下のラインがすぼむようにしましょう。また、女性は長襦袢と長着の衿をクリップなどで留め、背中心がずれないようにします。
腰で紐を使い固定します。このとき脇の線が体の横にくるように、衽(おくみ)線を中心にまっすぐ合わせます。女性はここで腰回りにあまった布をきれいにならし、胸紐・伊達締めをしめます。
帯を締めます。ここでは以下の締め方を解説します。
※帯の締め方は貝の口・お太鼓結び以外にもたくさんあり、着付けの手順なども流儀や地方によって違いがあります。
私(著者)は母親が着付けの仕事をしていたので、着物を着る機会は多い方だったかなと思いますが、自分で着付けようと思ったり、和服を描こうと思うと改めて調べなおしたり母に聞かないとわからないことも多く、難しいというか、奥が深いなと思います……。
しかしやはり、日本人。美しく着物を着ている方を見ると惚れ惚れしてしまいます。私もイラストで、日本の美の一部を表現できるようになりたい……!と考えて取り組んでいます。
少しでもこの講座が着物を描く参考になれば嬉しいです!
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ゲーム会社にてグラフィッカーとして勤務した後、現在はフリーランスでイラストレーターとして活動中。ソーシャルゲームや書籍用イラストなどを手掛ける。
▼まつゆき杏さん制作協力!
【現在発売中】『デジタルイラストの「塗り」事典 CLIP STUDIO PAINT PROで描く! 多彩な描画のテクニック56 (デジタルイラスト描き方事典) 』(厚塗りメイキング掲載)/SBクリエイティブ株式会社様