自分だけの「目」を編み出そう!目の描き方バリエーション

自分だけの「目」を編み出そう!目の描き方バリエーション

イラストにおける「目」は現実と異なる部分も多く、最もデフォルメの激しい部分。またキャラクターの魅力の源であり、自分の絵柄の象徴ともなる重要なパーツです。

 

自分らしい目の描き方がわからない、どこかイメージと違うといった悩みを解決するために、今回は目をアレンジする描き方・塗り方を具体例と共にご紹介します。

 

▼目次
印象を変える方法
 1. デフォルメ・情報量・コントラストのバランス
 2. 目(眼球)の基礎知識
パーツを組み合わせて自分らしい目を編み出そう
 1. 目の形(アイフレーム)
 2. 黒目の形
 3. アイラインの太さ
 4. 下まつげの有無
 5. 瞳孔の大きさ・形
 6. 瞳孔の塗り方
 7. 虹彩の模様
 8. 下部のハイライト
 9. 白目の色
 10. 影の色
 11. ハイライトの大きさ・形・位置
 12. まつげの塗り方

 

 

印象を変える方法

1. デフォルメ・情報量・コントラストのバランス

まず、「自分の描く目がどこか物足りない」「イメージと違う」と感じる時は、デフォルメ・情報量・コントラストの3つのバランスを調整することで概ね解決します。
 

  • デフォルメ

目の描写を今よりリアル寄り、またはデフォルメ寄りに変更してみましょう。

  • 情報量

ディティールやカラーリングの情報量を今より増やしたり、減らしたりしてみましょう。

  • コントラスト

シルエットやカラーリングのコントラストを今より強めたり、弱めたりしてみましょう。

 

2. 目(眼球)の基礎知識

目の印象を変えたい場合、目の基本構造を再確認しておくのも重要です。デフォルメを強く効かせる場合も、本物の基本構造を知った上でそれを落とし込むのと、知らずに適当に崩すのとでは勝手が違ってきます。

パーツを組み合わせて自分らしい目を編み出そう

次に目の描き方・塗り方において、印象が変わりやすい部分をご紹介します。表現に正解も不正解もありません。色んな組み合わせのパターンを試して、自分が求めるイメージに近づけていきましょう。

1. 目の形(アイフレーム)

目の形はキャラクターの性格・設定にも大きく影響する部分なので、変える時は細心の注意を払いましょう。

目の形、配置で重要になるのは、以下の3点です。
 

  • A

目の大きさはもちろんですが、特に重要なのが傾きです。目がハの字になっているのか、逆ハの字になっているのかで印象が大きく変わります。どこかイメージと違うと感じる場合は、試しに傾きを変えてみましょう。

  • B

目と目の間隔を変えてみましょう。近いほど大人っぽく、遠いほど子供っぽくなります。

  • C

目と口の間隔を変えてみましょう。近いほど子供っぽく、遠いほど大人っぽくなります。

2. 黒目の形

黒目とは、瞳孔・虹彩のことです。黒目の形もアイフレームと同様に、キャラクターの性格・設定を大きく表現する部分なので、変化させる場合は気を付けましょう。

上の画像は極端な例ですが、基本的に白目が多いほど大人っぽく、白目が少ないほど子供っぽくなります。

3. アイラインの太さ

次に、アイラインの太さです。以降の項目は、どれも微細な変化なので見落としがちですが、意外と大きく印象が変わる部位です。どこかイメージと違うと思った時に試してみてください。
 
アイラインの形はもちろんですが、特に太さが重要になります。目全体を強調したい場合は太く、黒目だけを強調したい場合やあっさりさせたい場合は細くしてみましょう。

4. 下まつげの有無


上の画像のように、白目が多いと大人っぽくなり、少ないと子供っぽくなります。下まつげがあると、白目の形が強調されるため、大人っぽい印象になります。また、まつげのハネを描くと女性っぽさ、大人っぽさがアップします。

  • A 下まつげなし
  • B 線だけ
  • C 線+ハネ
  • D ハネだけ

5. 瞳孔の大きさ・形


瞳孔の形は、小さいほど大人っぽく、大きいほど子供っぽくなります。これは白目と黒目の関係と同じです。また、Dのように奇形にすることで、エキセントリックな印象を作ることができます。

6. 瞳孔の塗り方


もの足りないと感じたら、瞳孔の情報量を増やしてみましょう。ごちゃごちゃしすぎだと感じたら、逆にシンプルにして情報量を減らしましょう。
 

  • A

基本色を壊したくない場合は、瞳孔の下部に少しだけ色を足してみましょう。目の上部は、まぶたや上まつげの影がかかるので、色を足すなら下部がベストです。

  • B

瞳孔の色を薄くしたいけど、ぼやけた印象にしたくない場合は、縁だけを残しましょう。

  • C

瞳孔をぼかすことで、淡い目を作ることができます。

  • D

基本的に瞳孔は黒なので、他の色に変えることでエキセントリックな印象になります。また、濃くすると比較的アジアっぽく、薄い色にすると欧米っぽい印象になるので、キャラクター設定にも利用できます。

7. 虹彩の模様


次に、虹彩の模様です。まずは基本的な目の構造を利用したものをご紹介します。
 

  • A、B

黒目の縁は、細いほど大人っぽく、太いほど子供っぽくなります。また、太い方が黒目が大きく見えます。

  • C、D

個人差はありますが、瞳孔の外側に色味の変わる境目があるので、Cのように濃い色を置いたり、Dのように明るい色を入れたり試してみてください。
 

上の図のように筋を入れる方法もあります。筋を入れるとリアル寄りになるので、量は調整してください。
 
ここまで、基本的な虹彩の模様をご紹介しましたが、虹彩は虹彩認証に使われるほど個人によって千差万別です。Cのように基本に囚われず、自由な模様を描き入れてみましょう。映り込みのことも考えると、さらにバリエーションが無限に広がります。

8. 下部のハイライト


まぶたや上まつげの影によって、目は下部の方が明るく見えます特殊なライティングの場合は除きます)。

  • A

比較的よくみるハイライトの入れ方です。

  • B

黒目の丸さを強調したい場合は、Bのように小さくハイライトを入れてみましょう。

  • C

Cは、目の青と同系色でハイライトを入れているため、ハイライトが目立ちにくく、シンプルな印象になっています。

  • D

Cよりもハイライトを目立たせたい場合は、少しだけ色相環をずらすとくっきりします。ライティングが特殊なカラーの場合は、その影響も考慮しましょう。
 

よりリアルにしたい場合は、ハイライトをぼかしてみてください。本物の眼球の黒目部分は出っ張っています。球体を想定してハイライトを入れることで、黒目が盛り上がっているように見せましょう。
 
黒目上部にハイライトを入れるのは、現実ではありえない嘘の演出ですが、球体らしさが増します。
 

また、目がキラキラしすぎなど、もっと情報量を減らしてシンプルにしたい場合は、画像のBのように黒目の上部を塗りつぶす方法があります。
 
Bだとシンプルすぎると感じる場合は、Cのように瞳孔の縁を明るくするとバランスが取れます。

9. 白目の色


白目の色です。
 
A:
真っ白で、基本的な白目です。目がくっきりするので、アニメなどではよくつかわれます。
B:
白目を肌と同じ色にしています。デフォルメ度が強い印象ですが、黒目が強調されるので、幼さが増して可愛い印象を作れます。
C:
AとBの中間で、自然な目を作ることができます。

10. 影の色

まぶた・上まつげによってかかる瞳の上半分の影の色です。
 
A:
基本的な灰色の影です。もちろん、ライティングのカラーによって変化します。
B:
肌色に近い影色にすることで、白目の印象を弱めることができます。
C:
影の縁に水彩境界をかけると、情報量を増やしたり、ポップな印象を作ったりすることができます。水彩境界とは、境界線に濃い色を置く描画方法で、多くの描画ソフトに機能として搭載されているかと思います。

11. ハイライトの大きさ・形・位置


ハイライトの大きさ・形・位置です。
 

  • A、B、C

ハイライトを黒目の上部につけると、目力を演出できます。ベーシックな配置です。ハイライトの面積が大きいほどその効果が強く、元気で明るい印象を与えます。小さいほど自然な印象になります。

 

  • D、E、F

ハイライトは、下部に行くほど目立たなくなるので、生き生きとした印象は弱くなりますが、自然な感じは増します。また、少しクールで大人しい感じや落ち着いた印象を与えられます。目を強調したいのか、全体の調和を優先したいのかでハイライトの位置と大きさを決めましょう。
 

他にも、ライティングによってさまざまなハイライトのタイプがあります。また、映り込みであると考えれば、Cのように自由な配色で自由な位置に色を置いても問題ないので、思いっきり好きな色を置いてみてください。
 

12. まつげの塗り方


最後はまつげの塗り方です。アニメでよくあるように、基本は黒一色ですが、いくつか情報量を操作する方法をご紹介します。ただし、これらの方法はコントラストが弱まるので、目力を重視する場合は黒一色の方がいいかもしれません。
 

  • A

まつげの色を肌色や髪色に近づけることで、まつげの印象を弱め、黒目を強調させてみましょう。

  • B

黒に原色に近い色を一部に薄くのせることで、まつげの光沢を増す方法です。色をのせることで、逆に黒の印象を強めます。

  • C

Aだと淡い印象になりすぎると感じた場合は、縁だけ黒く残しましょう。

  • D

肌色でまつげの房を描き入れることで、まつげのハイライトを表現します。肌がまつげに食い込んだ印象になりますが、別の色でハイライトを入れるよりシンプルな仕上がりになります。

  • E

黒目の上部とまつげに同じ色を入れることで、反射したような効果を作れます。原色に近い色を入れた方が、効果的です。
 

以上のようにほんの少しの変化で、目の印象はがらりと変わります。ぜひ自分のイメージに合う表現を模索してみてください!

著・画 ゼロモモ

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