デジタルイラストを描く際には必須のレイヤー機能ですが、「透明な紙やセル画みたいなもの」という認識で、その他の様々な「合成モード」と呼ばれるレイヤー機能を使っている人は意外に少ないのではないでしょうか。
今回はレイヤーの使い方の基礎から合成モードの種類について解説していきます。イラストをより魅力的に演出できる便利なものも多いので、ぜひマスターしましょう!
<目次>
レイヤーとは何か
レイヤー合成モード
・通常
・乗算
・焼き込みカラー、焼き込みリニア
・減算
・比較(暗)
・比較(明)
・スクリーン
まとめ
レイヤーとは何か
冒頭でも触れましたが、レイヤーとは「デジタルイラストを描く際に使用する透明な紙みたいなもの」です。しかも何枚でも重ねることができ、消去や移動など、レイヤーごとの微調整も簡単です。
線画や塗りのみのレイヤーを作ったり、キャラクターの複雑なポーズを身体のパーツごとに管理したり、用途は様々です。
レイヤー合成モード
レイヤーの「合成モード」を使用すると、そのレイヤーとすぐ下のレイヤーに描かれた絵に対して様々な特殊効果を与えらえます。ここでは主な合成モードの種類や用途、使用例について説明していきます。
通常
文字通り通常のレイヤーです。線を引いたり色を塗ることがメインになります。
乗算
このレイヤーを使用した部分の色が、影のように反映されるモードです。キャラクターの影塗りなど、イラストのどこかの雰囲気を暗くしたい場合に使えます。肌や髪などのパーツごとに影の色を選び直す必要の無い、便利なモードです。
グリザイユ画法と呼ばれる、白~黒のグラデーションだけで立体感を出す塗りのテクニックにも使われます。
焼き込みカラー、焼き込みリニア
色のコントラストを強くするモードです。色で塗った部分だけ色調補正の「レベル補正」のような事ができる、と考えると分かりやすいかもしれません。ただ、レベル補正のように明るさの調整はできないことに注意してください。
明るさを調整したい場合は「覆い焼きモード」を使う必要があります。焼き込みカラーはコントラストが強く、焼き込みリニアはより暗く見えます。
減算
塗った場所が塗った色の反対色になるレイヤーです。写真加工の際に役立つものなのでイラストのテクニックとしては使いづらいかもしれません。
比較(暗)
重ねた二つのレイヤーの色うち、より明度の低い方の色が表示されるモードです。これも写真加工の際に役立つものだと思われます。
比較(明)
比較(暗)と真逆のモードです。イラストを描くモードとしては使いづらいかもしれません。
しかしエフェクト素材を張り付けて派手さやキラキラした雰囲気を演出したい時に活躍するので、エフェクト素材を多用する人には出番が多いモードでしょう。
スクリーン
塗った色が光るように見えるモードです。その他の光らせるモードと比べると、明るさは控え目なので、肌や服など、照り返しの少ない部分のハイライトを塗る際に活用されます。
まとめ
上記の点をまとめると、
- 通常は通常
- 乗算は影を塗る時に
- 焼き込みカラー、焼き込みリニアは部分的レベル補正(明るさは補正できない)
- 比較(明)はエフェクト素材専用
- スクリーンはあまり光らないところのハイライト
以上のことに気をつけて描いてみてください。今回で紹介しきれなかったモードは、次回以降に解説していきます。
なお、人物やキャラクターの描き方については私の著書『デジタルイラストの「身体」描き方事典身体 -パーツの一つひとつをきちんとデッサンするための秘訣39-』の方を参考にしていただければと思います。
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著・画 松(A・TYPEcorp.)
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目下”SCPの人”と化しているフリーランスのイラストレーター。
様々な絵柄を駆使し、カードゲーム「マジンボーン・データカードダス」「ディスク・ウォーズ:アベンジャーズ」のイラストや、4コマ漫画「BIOHAZARD THE TOON」の執筆、小説の挿絵などを手がける。また、絵の描き方本『デジタルイラストの「身体」描き方事典身体パーツの一つひとつをきちんとデッサンするための秘訣39』を執筆し、活動の幅を広げている。