人体の比率を覚えれば人物イラストが上手になる! アタリの取り方講座
2016.09.30
絵を描くとき、衣装を着たキャラクターを正面から描くことがほとんどで、背中を描く機会はあまりないと思います。しかし筋肉質な男性や、水着の女性など、意外と背中を描きたくなるシーンは多いのではないでしょうか。
本記事では普段描き慣れない背中を描くとき、覚えておくと役立つ背中の構造やアタリの取り方をご紹介します。
基準となる筋肉などがあまりないことから、背中は、アタリがとても重要になるパーツです。背骨や肩甲骨など、とにかく筋肉より骨が目立つということを押さえて、背中の描き方をマスターしましょう。
▼目次
背中の構造は冒頭でも述べたとおり、骨がよく目立ちます。重要なのは背中の軸となる背骨と、背中の幅を決める肩甲骨です。肩甲骨は肩の位置にも大きく関係します。もちろん筋肉も存在しますが、アスリートかボディビルダーでもない限り大きく目立つことはありません。
背骨の比率は、簡単に言ってしまうと胸部と腰部の長さの比率を守っていれば大きな問題はありません。胸部と腰部の長さの比率については、以前執筆したアタリの取り方の記事に詳しく書いてあります。背中ではありませんが、長さの比率は正面も背後も変わらないので有効です。
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肩甲骨の左右の幅は首の幅とほぼ同じ、長さは肩のアタリのラインから肋骨の中央よりやや下あたりまでです。
また、背骨は身体の中心を通っていることは常に意識しましょう。当たり前のことと思っているかもしれませんが、斜め向きなど、角度がある背中を描く際に背骨の位置がずれてしまっていることが多いです。また、肩甲骨の位置を決める基準にもなるので注意して描きましょう。
胸腰筋膜は背中の腰部分に存在するパーツでダイヤ型をしています。これもやはり一般的な体型では目立つことはないのですが、背中の立体感の表現、特に影を付ける際に重宝するパーツです。デッサンするときの基準が少なく、厚みの表現が難しい背中では特に役立つので欠かさず覚えましょう。
背中の描き方は身体のアタリから背骨を描くところから始めます。そして背骨を基準に肩甲骨のアタリを描きます。肩甲骨は直角三角形に似た形をしています。描く位置は前述のとおり左右の幅は首の幅とほぼ同じ、長さは肩のアタリのラインから肋骨の中央よりやや下あたりまでです。
その後、肩甲骨の下にV字で線を引き、胸腰筋膜のダイヤ型のアタリを完成させます。ダイヤの大きさの基準ですが、頂点は肩甲骨のちょうど下あたりまで、下の点は骨盤と背骨の付け根までにします。横の2点は肋骨と骨盤のちょうど真ん中に来るように描きます。
最後に肋骨と骨盤を繋げて胴体を完成させて出来上がりです。最終的にはこのダイヤのアタリは消してしまいますが、影を付けるまで取っておくのも有効です。
背中に浮き出た肩甲骨の描き方は、直角三角形のアタリの背骨側を残したラインを描くだけで大丈夫です。ただ、肩甲骨のシルエット全体が浮かび上がっている訳ではなく、肩甲棘と呼ばれる出っ張りが浮かび上がっている部分があるので、少し角が削れたような形になっています。
以上の点をまとめると、
以上のことに気をつけて描いてみてください。
背中をカッコよく描けると、キャラクターのポーズの幅が広がります。
なお、もう少し詳しい情報は私の著書
『デジタルイラストの「身体」描き方事典身体パーツの一つひとつをきちんとデッサンするための秘訣39』の方を参考にしていただければと思います。
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フリーランスのイラストレーター。
様々な絵柄を駆使し、カードゲーム「マジンボーン・データカードダス」「ディスク・ウォーズ:アベンジャーズ」のイラストや、4コマ漫画「BIOHAZARD THE TOON」の執筆、小説の挿絵などを手がける。また、絵の描き方本『デジタルイラストの「身体」描き方事典身体パーツの一つひとつをきちんとデッサンするための秘訣39』を執筆し、活動の幅を広げている。