デジタルが主流になった今でも、水彩絵の具を愛用されているイラストレーターはたくさんいます。
透明感のある美しい水彩画を見ると、「やってみたい!」と思いますよね。
しかしいざ挑戦してみると、紙が歪んだり、色が流れたり、保存しようにもスキャンも綺麗にスキャン出来なかったり……。
あらゆる問題に直面しますが、実はそれを解決する方法があります!
それがパネルに水張りをすることです。
今回は一からパネルに水張りをする方法をご紹介します。
普段はパソコンで絵を描いている方も、デジタルでは表現しづらい水彩の滲みを手軽に楽しんでみませんか?
△水彩絵の具を塗った、にじみたっぷりのイラスト
「水張り」とは
水張りとは木製パネルに水張りテープで紙を張る、アナログ絵を描く上での基礎準備です。
パネルに水張りをすることで、水をたっぷり使っても歪まず、滲みのコントロールも容易で色の流れる心配も少なくなります。
歪みのない状態でパネルから剥がせるので、スキャンも綺麗に出来ます。
水張りをしてみよう!
では、水張りのやり方をご紹介します。
まずは水張りに必要な道具を用意しましょう。
・紙を張る木製パネル
・刷毛
・水張りテープ
・画用紙や水彩紙(パネルより一回り大きいもの)
全て画材屋さんやAmazonなどで用意することができます。
木製パネルは色々なサイズがあるので自分の描きたいサイズに合わせましょう。
パネルは何度でも使えるので一枚あると大変便利です。
STEP1:パネルに合わせて紙、テープをカットする
画用紙、水彩紙の上にパネルを置いてパネルより一回り大きく紙をカットします。
パネルの縁に折り込む分、1cmほど大きく切りましょう。
水張りテープも紙のサイズに合わせて縦二本、横二本分カットします。
水張りテープは裏が糊付けしてあり、水をつけると切手のように糊が溶けてパネルと紙を張り付けることができるテープです。
粘着力がかなり強いので初心者はサイズ1号(22.1×16.6)から5号(35.2×27.0)くらいの小品の水張りからチャレンジするのが良いかもしれません。
STEP2:パネルに水張りする
紙裏全体に刷毛で水をたっぷり塗ります。
紙がふやけても心配ありません。たっぷり湿らせましょう。
パネルの方にも全体に水をたっぷり塗り、湿らせます。
十分湿らせた紙の上にパネルの濡らした面を乗せひっくり返し、真ん中からしわを伸ばして紙を張っていきます。
このとき手が汚れていたり、油っぽかったりすると紙が汚れて色が乗りづらくなることがあるので綺麗な手か、気になるようならタオルなどを使いましょう。
紙がパネルより一回り大きいので角が余ります。
初心者は角の部分を最初にカットしてしまうことをオススメします。
テープに巻き込む方法もありますが失敗すると角が盛り上がってしまい綺麗に張れません。
次に水張りテープの糊が付いている面に水を付け、パネルと紙を固定します。
これで水張りが完成です!
張りたて時は、紙が波打っていますが完全に乾くと紙の波打ちは無くなります。
紙が乾いてから作業を始めましょう。
薄い紙で水張りすると、表側に木製パネルの木の色が染みのように出る場合がありますが、その場合は薄めた珈琲や紅茶を画面全体に塗ると気にならなくなります。
水貼りパネルから剥がす方法
水張りをした紙に絵を描いた後はパネルから紙を剥がします。
パネルの縁にカッターで切れ込みを入れ、パネルに沿って刃を入れましょう。
そして紙を剥がしたら、パネル縁の残ったテープも全部剥がしましょう。
これで水彩画の完成です!
歪みがないので、スキャンも綺麗に出来ます。
ちょっと本格的な水張り水彩イラスト、ぜひ挑戦してみてくださいね!
[著:yashico]
美術大学を卒業後、主にデザインフェスタ、ライブペインティングなどアナログシーンで活動。
2015年からCGも少しずつ発表してます。