知的な印象のメガネやワイルドなサングラスは、キャラクターを演出する小物として頻出するアイテムです。
メガネの使用経験がないと細部の形がわからなかったり、常用していても描き方はよくわからないという方も多いのではないでしょうか。
通常のメガネはある程度決まった形があり日常的に目にするものなので、バランスが狂えば違和感を抱きやすいアイテムでもあります。
今回は基本的な構造やアタリの取り方から、レンズの描き方などもご紹介します。
<目次>
1. メガネの基本
2. アタリは箱型
3. フレームを描く
4. レンズの表現
5. 顔に落ちる影
6. フレームの形いろいろ
7. まとめ
1. メガネの基本
メガネのフレームは「リム」「ブリッジ」「テンプル」が目立ちますが、きちんと描くには「パッド(鼻あて)」「ヨロイ(智)」もとても重要になります。
メガネの正しいかけ方としては、瞳がレンズ縦幅のほぼ中心に来るのが正しい位置です。しかしイラストでは見栄えを重視してメガネを下にずらして描かれる事が多いです。
フレームは上からみると顔の曲面に沿うようにほんのわずかに湾曲していて、横からテンプルが水平になるように見るとフロントがわずかに前傾しています。
2. アタリは箱型
メガネと顔の間には空間があるので、顔の角度を変えると目とフレームの位置の見え方が大きく変わります。テンプルとフロントの目安になる「耳から目元への延長線」と「目の水平線」の箱型(コの字)のアタリを取りましょう。
このアタリをとってみると、耳の位置が変だったり、顔のバランスが崩れている事に気付く事があります。
人間の顔は目と耳の付け根上部は同じ高さなので、「耳から目元への延長線」は顔に対して水平になるのが正しいバランスです。崩れに気付いたらここで修正してしまいましょう。
顔のアタリを取るのと同時にメガネのアタリも一緒に描いておくと修正の手間が省けますし、メガネを描かない場合でもバランスを確認するのに役立ちます。
メガネを上下にずらしている時や、アオリや俯瞰の時はフロントが前後に傾きます。テンプルの角度に注目してフロントの角度も確認しましょう。
3. フレームを描く
リムを描く前に、まずはパッドの位置を確認します。鼻骨を挟むようにハの字、高さは目頭よりやや下です。
パッドを繋ぐようにブリッジを描き、そこから線を伸ばしリムを描くと左右の間隔が取りやすくなります。
上部と下部の水平線を伸ばし、リムが左右対称か、目と並行になっているかなどバランスを確認しましょう。フロントとテンプルを繋ぐヨロイも忘れずに。
リムの形をきっちり決めてから一番最後にフレームの太さやブリッジの高さなどを調整しながら整えます。
4. レンズの表現
レンズの存在を印象付けるため白く反射を入れると目元が隠れてしまうことがあります。目元を隠さずレンズの存在を示すには、レンズのフチに白い反射を入れると効果的です。
レンズ表面の反射は強い光が映り込みやすく、空の色や光源(電灯やディスプレイ)の形を映りこませると空間を演出できます。
屈折によってレンズ越しの顔の輪郭がずれる描写をすれば反射を入れなくてもレンズを表現できますが、画風によっては合わないこともあります。
5. 顔に落ちる影
メガネの影を入れるとメガネと顔の一体感が増します。
フレーム全部の影を描くのではなく、顔とフレームが最も近づく鼻〜頬骨前面、テンプルが来る顔側面に入れると自然です。
レンズの影はレンズが無色であればほぼ必要ありません。サングラスなど濃い色付きの場合はレンズの色が影になります。
6. フレームの形いろいろ
フレームには基本的な形があり、さらにデザイン次第で細かな違いが無数にあります。材質はプラスチックや樹脂や金属などで、フレームの太さも様々です。
サングラスやゴーグルは「目を保護する」目的があるので、メガネよりも広位範囲を覆うものもあります。
7. まとめ
ほとんどのリムは上下が非対称になっていて、重心が下に来るような形をしています。逆さにした台形や半円のつもりで描いてみましょう。
間違いは見つからないのにメガネらしさが足りないなと思ったら、メガネが顔に張り付いていないか、左右のレンズの間隔が適切か、ヨロイの存在が薄れていないかを確認しましょう。
また、角度によってフレームと目が意図せず被ってしまうことがよくあります。目はキャラクターの命ですので被らないように工夫することをおすすめします。目に被らないようフレームを調整する、フレームを透かすなどの手法もよく使われます。
著・画 山羊ヤマ
WEB:http://arcadia-goat.tumblr.com/
筋肉と獣人と少女が好きなフリーのイラストレーター。PBWやソーシャルゲームでモンスター・人外・筋肉・男性を中心に描かせていただいております。