和の花・植物の描き方4選(椿・乙女椿・紫陽花・桜)

和の花・植物の描き方4選(椿・乙女椿・紫陽花・桜)

髪飾りなどのアクセサリーはもちろん、大輪の花をキャラクターに添えて彩ったり、リアルな背景として描写したり…今回はイラストに何かと登場する「花の描き方」をわかりやすく解説します。


まずは写真や本物を見て構造を理解し模写する事が重要ですが、模写ばかりしていると写真にない角度が描けません。形の特徴をとらえて色々な方向から描けるようになるコツを紹介します。

 

▼目次
その1. 椿
 椿の花びらの特徴
 作画の流れ
その2. 乙女椿
 乙女椿の花びらの特徴
 作画の流れ
その3. 紫陽花
 作画の流れ
 紫陽花の花びらの特徴
その4. 桜
 桜の花びらの特徴
 作画の流れ

 

 

その1. 椿

よくイラストで見かける素朴な形の椿です。ヤブツバキを参考に描いてみました。花弁は5~7枚(個体差があります)、まずはバドミントンのシャトルのような形を意識しながらアタリを取りましょう。

 

次にアタリの通り花びらを描き込んでいきます。この時点ではバランスよく花弁を配置することを気を付けます。

椿の花びらの特徴

  • 花弁はハート型
  • 花弁のフチ縁が少しヒラヒラしています
  • 反りは大きいです
  • 椿はシベが特徴的です

作画の流れ

  1. アタリを取ります、花のサイズ、向きや角度が解る程度でOK
  2. バランスを取りながら花弁の位置を決めます
  3. 細かな形を意識して下書きを整えて行きます
  4. 線画に起こして完成です

その2. 乙女椿


同じ椿でも種類が違えば描き方も変わります。乙女椿はコロンとした形なので、アタリも丸く描きます。

 

中心部分がずれないように注意します。花弁はたくさんある為、ごちゃつく場所は適宜省略してしまいましょう。

乙女椿の花びらの特徴

  • 花弁はハート型
  • ヒラヒラしておらず張りのある花弁
  • 内側は湾曲が強くお椀型、外に向かって開いていく
  • 内巻きの中央、緩い巻の真ん中、開いている外側の3パーツに分けると描きやすい

作画の流れ

  1. アタリをとります、大きさと中心の位置が解ればOK
  2. 中央、真ん中、外側にざっくり分ける
  3. 花弁をバランスよく配置していく
  4. 乙女椿の花弁はかっちりした形で個体差が少ないので、中心がずれたりサイズがバラ付くと目立ちます、花弁に中心線を入れるとミスが防げます
  5. 花弁の個体差が少なく描きやすいので4くらいまで描き込んだらペン入れへ行っても問題ないと思います

その3. 紫陽花


紫陽花のように小さな花が集まって形を作っている場合は、全部描くと時間がかかる上に綺麗に見えないので適度に省略しましょう。

作画の流れ

  1. アタリは丸でOK
  2. 中心に正面向きの花を、外側にはつぶれた形の花を描きます、一気に描くと見にくくなるので重なり合わない程度に描写
  3. 隙間の部分を同じように埋めて行きます
  4. 個体差が少なく描きやすいので3程度まで描き込んだらペン入れへ行きます、中心は一つ一つしっかり描きます
  5. 周囲はなんとなく形をとる程度、ここをしっかり描いてしまうとごちゃごちゃになるので適度に省略してください
  6. 下描きレイヤーを非表示にするとこんな感じ
  7. 外側は花の形が解らない位省略、一番外側は枠を描く程度でOK

紫陽花の花びらの特徴

  • 紫陽花の花に見える部分は「ガク」です。正確には中心にある小さな粒が花になりますが、解りにくいのでここではまとめて「花」「花弁」と呼称します。
  • 花弁の数は4枚が基本ですが5枚も混じっています。
  • 紫陽花の花は下がつぶれていて平たいですが、自然の物なのでまん丸だったり歪んでいたりと個体差が激しいので、角度によって描き分けする必要は薄いです。
  • 角度は葉の傾きと茎の見え方で表現しましょう。
  • 今回は描きやすいので張りのある形を選びましたが、ヒラヒラが強くフリル状のものや八重になっているものなど色々ありますのでお好みで選んでください!

その4. 桜

いよいよ桜の樹木です。木にこんもり咲くタイプの花は難しいので、今までの技法を総動員して描きましょう!

桜の花びらの特徴

  • 桜の花びらは角のない丸いハート型
  • 湾曲は弱く緩い内巻き、花弁全体が薄くヒラヒラしている
  • 同時に蕾もたくさんついています、固く閉じたもの、開きかけの物など何パターンか写真で確認しておきましょう


全て手描きすると膨大な時間が掛かるのである程度描いたら素材化しておくと時短できます。今回は

  • 花房
  • 花のかたまり

を用意しました。それぞれ、近景、中景、遠景で使用します。

作画の流れ


それでは実際に描いていきます。まずはベースとなる木、枝を描きます。


遠景です。花のかたまりを枝の後ろに配置します。


中景です。花房を枝の前に配置します。


近景です。花を追加します。花だけ浮いていると不自然なので、一緒に枝も追加します。


奥行きをもっと出したかったので更に手前に花を追加しました。近すぎてボケている状態を表現するために、ガウスぼかしを掛けています。


舞っている花弁を追加して完成です!


以上、今回は違うタイプの花を四つ選んで解説してみました。他の花にも応用できると思いますので、是非参考にしてください!

著・画 珠樹みつね

イラストレーター。ソーシャルゲームのカードイラストを中心に、3DS用ゲームの背景や食玩のオマケイラストなどジャンルを問わず活躍。Webのイラスト講座なども多数手掛ける。

 

ホビージャパンより著書「CLIP STUDIO PAINT キラキラの描き方 宝石・鉱物・金属などを輝かせる塗り絵テクニック」好評発売中。

 

twitter:https://twitter.com/tamaki_mitune

pixiv:https://www.pixiv.net/member.php?id=2880417

WEB:http://tamaki-mitune.seesaa.net/