メイキングで解説! 線画がなくてもOKなイラストの描き方

メイキングで解説! 線画がなくてもOKなイラストの描き方

線画作業が苦手でイラスト制作に悩んでいる方、多いかと思います。

例えば、線を描くことに意識を取られすぎてモノの形がおぼつかない、その結果、カラーイラストまで完成できなかったり……といったことはありませんか?

 

解決策のひとつとして、先にシルエットを描き、影を描き込んでいく手法があります。この手法を使うことでラフのイメージを崩さず、線画作業を省いて描くことができます。さらに陰影表現に集中できるので、立体感のある絵を描くのが苦手な方もお試しください

 

今回は、その手法をメイキング形式でご紹介します。

 

▼目次

線画が苦手でも気楽にできる塗り方

1.ベースを作る

2.影を描く

3.色の塗り分け

 

使用ツール:CLIP STUDIO PAINT

 

線画がなくても映えるイラストの塗り方 

線画がなくても映えるイラスト

ラフ画をもとに着彩を進めます。

ここではテーマである「線画が苦手な人」向けに、「陰影を決めてから着彩する」という流れです。

 

この方法を使うと細かな線画表現を気にすることがないのは然ることながら、陰影表現に集中できるので立体感を持った絵を描くのが苦手な方にもオススメです。

 

1.ベースを作る 

ベースを作る

まず、キャラクターを塗る前にベースを作ります。

シルエット

背景色を白からグレーに変更し、そのレイヤーの上にラフに沿って塗りつぶした「シルエット用レイヤー」を作ります。このシルエットを元に着色を進めていきます。

 

シルエットを作る際にはラフのイメージを拾いつつ、ラフでは崩れていたバランスを整えていきます。ラフをなぞることばかりに集中せずに画面全体を縮小したりして全体のバランスが悪くないかを見つつ描き進めます。

2.影を描く 

影を描く

ベースの上に乗算レイヤーを作って影を描いていきます。ざっくりと描いたら、影のキワの部分を削ったり、ぼかしたりして立体感を出すのがポイントです。 

影

2影など影の濃さを変える場合はレイヤーもその都度増やします。

 

影を描き込む際には描いている物の写真など参考資料を見つつ描きましょう。

 

実際に描きたいものと同じものを用意できるのならばそれが一番ですが、無い場合は身近にある似た物を観察して描きます。

 

影の落ち方であれば、フィギュアにライトを当ててどういう風に影が落ちるのかを参考にできますし、洋服のシワの影でしたら自分の姿を鏡で見ると一番早いです。柔らかなスカートの動きを描くにはティッシュ箱から出るティッシュをひっくり返してみると割と参考になります。

 

また、影を描き進めると輪郭の粗が見えてくるので、不要な線なども消しつつシルエットを調整しましょう。

3.色の塗り分け 

色の塗り方

塗りやすいようにパーツごとに色分けをして配色します。まずはシルエットレイヤーを肌、髪、服などのレイヤーに分けて塗りつぶしましょう。

 

塗りつぶす度にレイヤーの特殊効果で水彩境界を設定します。水彩境界を使うことで、着彩部のキワに輪郭が生まれ、画面の密度を簡単に上げられます。

 

設定値は好みで大丈夫です。今回は幅2、強さ100~80くらいにしています。 

塗り方

塗り分けたら、色レイヤーをフォルダーひとつにまとめ、そのフォルダーに対して影レイヤーをクリッピングします。  

塗り分け

塗り分けたフォルダーを領域検出元に指定したら「自動選択ツール」を選択します。領域検出モードを「色差が範囲内の部分」、領域検出元も「領域検出元に設定したレイヤー」に変更します。

 

この設定することで影色の変更時などの際にパーツの選択が楽になります

塗り分け

塗り分けた色を選択し、影レイヤーを不透明度保護にしてパーツごとに影色を変えます。


今回のイラストでは鮮やかさを出していきたいので、影は濃すぎず、キツい色になりすぎないようにしています。1影はパーツの色を参考に、彩度を保ったまま数トーン暗くした色に。2影は彩度を落として、もう1トーン暗くした色に変えます。

陰影

色合いにメリハリを付けるために、合成モードの「陰影」や「発光」を使って、塗り足りない部分を描き込んでいきます。この段階で描き込み量を多くすると厚塗り風にもなります。

 

オーバーレイ

さらにオーバーレイで色味を足すと、明るく柔らかな仕上がりになります。

 
イラスト

塗りが終わったらアイドルの派手さが伝わるような背景を描いて完成です。

まとめ 

以上、メイキング内容をまとめると以下の3点です。

  • 作業中一点を描くことばかりに集中せず全体を見つつ制作
  • 影を描き込む際には手元にある身近なものを観察して描く
  • 仕上げにオーバーレイや発光など明るく色味を出せる合成モードを使用することで、一気にイラストの彩度が上がり華やかになります

最後に

今回の描き方は自分が絵を描き始めの頃に、ペン入れというものを避けてラフの落書きばかりを量産していたころの手法になります。

 

アナログではキャラクターのカラーイラストを描く際にペン入れは避けて通れない道。絵を描くことは好き、色塗りも好きだけれどペン入れが苦手で絵を描くことが難しいとも思っていました。

 

パソコンでイラストを描き始めたときにデジタル環境だからこそ難しい点も多く感じましたが、デジタルだからこそアナログではできない描き方があるのではと模索して今回の手法が生まれました。

 

今回のメイキングでイラスト制作を気楽に楽しく描けるよう、少しでも手助けになれたらいいなと思います。

 著・画 さくらば 

さくらば

Twitter: https://twitter.com/skrb_btn
web: http://xx359.weebly.com/

 

フリーランスのイラストレーター。

萌系イラスト中心で主にソーシャルゲームなどのキャラクターデザイン、スチル、カードイラストなどのお仕事をいただいております。華やかだけど重みのある色遣いのイラストを描くことが得意です。ゲーム関連また、書籍などのお仕事も募集しております!