絵を描くとき、どうもバランスが悪い、でも何が悪いのか分からないと思ったことはありませんか? 今回はそんなときに読みたいワンポイント講座です。
前半は「初心者が間違いがちな頭部の描き方」をご紹介。
以下の項目に引っかかるなと思った方はチェックしてみましょう。
- 耳の位置がどこにあるかわかっていない
- 前髪の流れを意識していない
- 目のパーツが左右異なってしまう
- 眉毛の位置が左右異なってしまう
- アゴが前に出すぎてしまう
- ほっぺたの位置がよくわからない
- 鼻の位置に違和感がある
後半では、頭部の描き方と髪の描き方をご紹介します。
ビギナーの方は今回の記事を通して頭部と髪の毛の描き方をマスターしましょう。
何かがおかしい頭部の例
はじめにこちらの女の子をご覧ください。
この女の子、何か違和感がありませんか?
どこの部分がおかしいのか、顔を描くときに注意したい7点をまとめました。
1.耳の位置は目と平行でアゴの付け根あたりに
自分自身の耳を触ってみると、耳はアゴの付け根あたりからついていることが分かります。今回のサンプルの女の子は耳がかなり上になっていますね。
2.前髪の生え方を揃える
前髪の生え方、流れがバラバラで違和感があります。
何か意図がない限り、髪の毛の流れは規則的にした方が自然です。
3.目の大きさ、見ている方向を左右で合わせる
左右の目の大きさは、顔に角度がついている状態でも、漫画のように絵全体にパースがかからない限り高さはほぼ同じになります。また、右目が横を向いているのに対して、左目が真正面を向いてしまっているので、方向を合わせましょう。
4.眉毛の高さを合わせる
目からの高さを比べてみると眉毛の高さが違うことが分かります。
例えば片目を閉じていたり、表情を作るために片眉だけ高さを変えたりするなどありますが、そうでない場合は、基本的に両目とも目から同じ高さを意識するようにしましょう。
5.アゴの位置は口の下に
首の位置に対してアゴが前に出てしまっています。このくらいの斜めの角度であるなら、もっと引いたほうがいいです。この場合、口に合わせたほうが自然にみえます。
6.頬のふくらみは目のすぐ下に
基本的に下まつげの下あたりからが頬のふくらみになります。これでは下まつげと頬の間が空きすぎてしまっています。意図したデフォルメではない限り、気をつけましょう。
7.鼻と口とアゴは顔の中心線に
中心線を引いたときに鼻の位置がズレていることがわかります。
一見、目と目の中心部分にあるので合っていると思いますが、鼻の頂点は斜め横を向いたときに左側へ寄りますので、この場合目と目の丁度真ん中にあるとおかしいということになります。顔の中心線には鼻、口の真ん中、アゴがあたることを意識しましょう。
まとめ
ポイントをまとめました。自身のイラストを比較してチェックしてみましょう。
頭の形をしっかりと描くには
頭部の形を簡単に取るには、丸を描いてから頬を描き、アゴをつけていく感じで描くときれいに形を取ることができます。
しっかりと形を取る癖をつけて少しずつ描きなれると、自然にバランスが取れるようになります。
また、頭はこのように補助線などを引いて、立体感がちゃんと出ているか確認してみると違和感が分かりやすくなります。慣れるまでは、このようにしっかりと確認をするようにしましょう。
髪の毛が中々上手く描けない……そんなときは
髪は、髪の毛の束を頭に貼り付けていくイメージで描くと良いです。
このような感じの束をペタッと貼り付けていくイメージがつければ、髪の毛の流れなどを意識しやすいでしょう。
ぺたぺたと貼り付けたイメージがこちらになります。
パーツを分割したように貼り付けていく感じで描いてみましょう。この手法で髪の毛を描くと、頭の頂点から自然に髪の毛が生えているように描けます。
「見えない部分」も意識してみよう
髪の毛で隠れた頭部など、見えない部分も描くことで全体のバランスをしっかりとおさえることができます。
例えば、この女の子の前髪を取ってしまった状態でも、絵が破綻しないように前髪の下の頭部も考えて描くようにします。
左の状態から前髪をはずしても、右のように前髪の裏までイメージできるようになれば、横顔を描く時も、パーツごとの形状を理解できるので、違和感なく描くことができます。
いかがでしたか?
「描く前後にしっかりと確認をしない」「実物や見本を参考にしない」などが初心者にありがちなミスです。
確認しながら描けばもっとバランス良く描けたのに……と、もったいない思いをする前に、是非チェックポイントを参考にしてみてください。参考資料を見ながら描くことは悪いことではなく、むしろ良いことです。「何も見ないで描く」よりも、よく見て調べて確認してしっかりと描き上げる、それこそが上達への近道です!
[著・画:乃樹坂くしお]
Twitter https://twitter.com/ku_shi
2009年から絵を描き始め、2013年からフリーランスとなった駆け出しイラストレーター。大人になってからイラストを1から始めるなんて遅くない、と証明するために日々積み重ねています。