ラクガキ用液タブ『raytrektab』でお絵かき人生変わった―― ユーザー×開発者インタビュー

ラクガキ用液タブ『raytrektab』でお絵かき人生変わった―― ユーザー×開発者インタビュー

ラクガキ用液晶ペンタブレット『raytrektab』。5万円以下の価格で、お絵描きを楽しむための全てが詰まった8インチタブレットPCです。

 

これまでいちあっぷでは人気クリエイターからraytrektab(関連記事)の可能性について迫って参りました。ですが今回は一般ユーザーであり、raytrektabを快適に描くツールを独自開発しているhelさん(@hel_lifelog)にお越しいただきます。

 

趣味でお絵描きを楽しむ一般ユーザーの視点から、raytrektabの開発を務める林田奈美さんと一緒に製品開発秘話やお絵描きユースのポテンシャルについて迫りました。

 

わずか8インチのタブレットで、本当にお絵描きは楽しめるのか? デジタル制作に移行したいアナログ絵描きさんの不安は解消できるのか?? raytrektabを知ったばかりの方はもちろん、購入にお悩みの方までご参考ください。

 

▼目次

購入のキッカケは、アナログにつきもののアレ

鉛筆型スタイラスペンの魅力とは?

高校生が夏休みのバイトに買える値段に、ビギナー向けとして

女性の絵師さんから好評「描きやすい!」

helさん開発アプリ「ray Tweak Tool」でショートカットキー機能が生まれる

画面を広く使いやすくするアプリも開発中

raytrektabとiPad Proとの違い、こんな人にオススメ

 

本記事は株式会社サードウェーブデジノスのPRにてお送りいたします。

raytrektabの詳細はこちら

購入のキッカケは、アナログにつきもののアレ

―― 本日はよろしくお願いします。早速ですが、helさんはraytrektab導入前までは、どんな風に絵を描かれていたんですか?

hel様アイコン
絵には昔から関心があって、中学生くらいの頃からスケッチブックにシャーペンと消しゴムで描いていました。ただ、それだと手が汚れてくるんですよね。
林田様アイコン
手の横のところが銀色になっていくんですよね(笑)
hel様アイコン
はい。あと消しゴムのカスです。描いて、ゴミを集めて捨てて、描いて、またしばらくしたらカスを集めて……としているうちに面倒くさくなってきちゃって。

そのような中、普段からTwitterなどで絵師さんのイラストを拝見していて、自分もデジタル環境で描いてみたいなと思っていました。

――それでraytrektabにご関心を持ったのですね。最初はどうやってraytrektabを知ったか覚えていますか?

hel様アイコン
Twitterで絵師の方をたくさんフォローしたリストを作っているのですが、そこに流れてきたんだと思います。絵師の方の中にはデジタルガジェットを触るのが好きな方もいらっしゃるので、それで知ったのかと。

それでスペックを調べて、その後に使用体験記事なんかも見て、最後にペンの持ち味や画面の大きさの雰囲気などを確認するために秋葉原の店舗で実機を触ってみてから買いました。

――raytrektabを導入して、絵を描く時間は増えましたか?

hel様アイコン
購入前と比べると増えていますね。ちょっとした修正もアナログに比べて抜群にやりやすいですし、ゴミも出ません。絵を描くということがすごく楽になったので、時間は確実に増えていると思います。

raytrektabの魅力

鉛筆型スタイラスペンの魅力とは?

――raytrektabの一番好印象だったポイントはどこですか?

hel様アイコン
バッグに入れても邪魔にならず、片手で持ったときにちょうど良い大きさと重量であることなど、いくつか気に入っている点があります。

ただ、最初に感じたのは「結構ペンがちゃんとしている」というところです。

多くのペンタブレットのペンって太くて、ショートカット用のボタンがついているんですけど、あれは個人的に違和感がありました。親指でボタンを押すことを意識してペンを持つと芯が片側だけ減るんですよね。

ペンを回したり持ち替えたりしながら描かなきゃいけないのって結構手間だなと。あと、ボタンがあるとそれを押さないように描くのも意識しないといけないので。

このペンの価値は店頭で触ったときに感じましたが、実際に自分で買って、触っているうちにさらに気に入っています。

raytrektabのスタイラスペン

raytrektab付属の鉛筆型スタイラスペン。

後ろのボタンは画面につけることで消しゴムになる。

林田様アイコン
実は私もボタン使わない派だったんですよ。ボタンを押しやすい角度と自分が描いているときのペンの角度って必ずしもイコールではないんですよね。その辺に違和感があって、自分が使うときもペン機能は切っていました。

弊社のデザイナーも趣味で漫画を描いていますが、「使う?」って聞いたら「私も切ってる!」って言うから、「あ、じゃあ切るか」と思って切りました(笑)。
hel様アイコン
鉛筆型であればテープを巻いたり市販の鉛筆用のゴムを付けたりで調節できるけど、スイッチがあるとそれができないんですよね。自分で描きやすいようにアレンジできるのもいいと思います。
林田様アイコン
タブレットPCのペンということで、収納式の小さいものという話もありましたが、「絵も描けるマシン」ではなく「絵を描く用」という製品にしたかったので、こういうアプローチにしました。だからクリエイターのみなさんに届いたと思います。

高校生が夏休みのバイトに買える値段に込めた、ビギナー向けとして

hel様アイコン
あと、この価格帯はなかなかないですね。ペンもペイントツールの『CLIP STUDIO PAINT DEBUT』も入って税込49,800円。この値段じゃなかったらダメだったと思います。
林田様アイコン
値段のテーマは「高校生が夏休みにバイトすれば買える値段」です。親御さんが買ってくれることを考えてもこれがギリギリ、これ以上はダメかな、と。ゲーム機とかと比べられる、大きくは違わない程度の値段設定です。
林田様アイコン
あと、買ってみて万一失敗しても無駄にならない値段、というのも実はあります。液晶タブレットって、意外と大きくて置く場所がないとか、店頭ではいいなと思ったけど意外と重いとか、使ってみたら違ったなと――。

絵描きさんにお話を聞いてみると「これだったら一台で始められて、もしダメでもタブレットとして動画見たりするのに使えるし、無駄にならない」ということで手に取ってもらえています。

確かにパソコンとPC用タブレットとツールと……と全部揃えるのは大変ですし、「道具ばっかり揃えてどうするの?」ということもあって気が引ける、心の中で抵抗になっている、という話を聞いて、私もそうだな、と思いました。


raytrektabオススメ

女性の絵師さんから好評「描きやすい!」

林田様アイコン
「お絵描き向けでいい」と舵を切ろうと思ったのには大きなきっかけがひとつあって、実はTwitterでのことです。

初回ロットが生産されて製品が上がってきたときに、私自身ビックリするくらい描きやすかったんですよね。でも私だけが満足しているだけかもしれない、他の人にも触ってみてほしい、と思ってコミティアという同人誌即売会のブースにraytrektabを初めて出すことに決め、それをraytrek公式アカウントでツイートしてみたんです。

すると、フォロワー数百人程度のアカウントのそのつぶやきがすごく拡散して、ツイートを見た方が「このつぶやき見てきたんですけど、これですか!」と言ってブースに来てくださって、発売前にもかかわらず列ができたんです。特に女性の方が多く、みなさん「すごい! 描きやすい!」と言った反響がありました。
林田様アイコン
その反応を見て「お絵描きする方向けに振りきってもいいんだ! ここまできたら会社を説得してお絵描き向きというコンセプトでやろう」と決めました。

実際、発売日にドスパラ秋葉原本店にも列ができまして、半分以上が女性だったので店長がびっくりしていました(笑)。「男性客が多いドスパラに、女性が並んでいる……」と社長も見に来たそうで「だから言いましたよね?」と(笑)。

絵を描いている方々の応援があってこそできた製品だと思います。本当にありがたいです。

液タブオススメ

helさん開発アプリ「ray Tweak Tool」でショートカットキー機能が生まれる

――helさん、raytrektabを使ってみて、気になった点はありませんでしたか?

hel様アイコン
ペンにボタンがないのは非常にいいんですが、キャンバスを動かしたり、前に戻るなど、簡単な操作も画面内で操作しないといけなくなってしまった。キーボードを備える普通のパソコンならショートカットキーも使えますが、raytrektabには電源含めて4つしかボタンがないので、アンドゥや、ブラシツールと消しゴムツールの切り替えなどの簡単な操作もままならない。

自分は特に戻る操作を頻繁に使うので、いちいち画面内のボタンを押すのは手間でした。Bluetooth対応コントローラやテンキーなど外部デバイスに頼らず、raytrektab単体で数個程度のショートカットキー操作を行う方法を考え、本体側面のボリュームボタンにキーを割り当てられないか? と思ったんです。

そこで以前から知っていた、数行の命令を記述することでボタンやキーの機能を変更できる、AutoHotkeyというスクリプト言語を利用しました。これによりそれほど手間をかけずにraytrektabのボタンにショートカットキーを割り当てることが可能になりました。

ただ、キーの割り当てもいちいちプログラムを打って修正して試して……とその都度やるのが面倒ですし、通常のソフトのようにウィンドウやボタンなどを備えた視覚的な設定画面(GUI)があり、そこですぐに設定変更できた方が便利だったので、自分用として簡単なGUIをつけました。

それを他の方が使いやすいように発展・改良したものが「ray Tweak Tool」です。これでボリュームボタンやWindowsボタンに任意の機能を設定し、設定したキーが入力されてショートカットキーが使用できる状態で絵を描けるようになりました。

―― 一番欲しかったのは前に戻る機能ですか?

hel様アイコン
あとは消しゴムとか、背景色と描画色の入れ替えですかね。使わない人多いかもしれませんが私は使うことが多かったので。あとは進む、戻る、色の切り替えとかも設定可能です。ペイントソフト側でキーボードショートカットを割り当てできるなら、ほぼなんでもraytrektabのボタンに割り当てることができると思います。

――使うときはraytrektabをどういう風に持っていますか?

hel様アイコン
自分は指が届くので、縦型で後ろから掴んで中指でボリュームボタンに触れる感じです。横持ちの場合は左手の人差し指で押す感じでもいいと思います。

raytrektabの持ち方

raytrektabでCLIP STUDIO PAINT

――このツールを公開しようと思ったきっかけは?

hel様アイコン
昔の話になりますが、PDA(携帯情報端末)という小型デバイスがありましたよね。ああいう機械を使いやすくするためのツールを開発してフリーウェアとして公開している方々が当時もいらっしゃったんですよ。

そういうのを自分も使わせてもらっていたので、いつか自分も自分と同じ機械を使っている人の役に立てたらいいなあ、と思っていて、結構使えるかな? とも思ったので公開させていただきました。

――素晴らしいですね。ちなみにユーザーから反応はありましたか?

hel様アイコン
このソフトの説明書(readme)の末尾にAmazonのほしい物リストを公開していたんですが、それを通じて紅茶とメッセージを送ってくださった方がいました。紅茶をいつも飲んでいるのでリストに入れていたんです(笑)。

初めて公開したツールでいきなり反響をもらえるとは思っていなかったですし、最初は注文してもいない紅茶が急に届いて「あれ、まだ切らしてないはずなのに」なんて驚いたりしました(笑)。他にTwitterでリプライもいただきましたね。

――林田さん、開発者としては一般の方がアプリとかを作るのはどう見られていますか?

林田様アイコン
ありがたいです。ちゃんと使ってくれて、愛されているからこそ、より便利に使いたいということでこういうアプリを開発してくれる訳じゃないですか。「ユーザーさんにこういうものを作っていただけるところまで来たんだ……」と感慨深いです(笑)。今後より良いものを届けていきたいという励みにもなります。

画面を広く使いやすくするアプリも開発中

hel様アイコン
あともう一つ、画面上でツールボタンを隠してなるべく画面が真っ白な広い状態で絵を描こうとすると、何か機能を使おうとするたびに非表示にしたボタンを再表示しないといけない。これが手間だなと。

そこで、Windowsのタスクトレイに、ボタンの機能を有したショートカットを設置すれば、画面を広く使ったまま様々な機能が使えるんじゃないか。そうなったら便利だなと思ってもうひとつのアプリ「TrayKey」も開発中です。

raytrektabでお絵描き

TrayKey を使用した状態のCLIP STUDIO PAINT。

大きなキャンバスで設定した各種機能が使用できる。

――画面いっぱいにキャンバスを出しながら作業ができるわけですね。

hel様アイコン
そうです。0番でペン、1番で筆、2番で消しゴム、など、ラフを描くのに必要な機能くらいは割り当てて使えたらいいなと考えています。画面のスケーリングや他のタスクトレイアイコンの数にもよりますが、「ray Tweak Tool」と同時に使うことで、物理キーも含めて8つか9つくらいのショートカットを設定できます。

――なぜ開発途中なのですか?

hel様アイコン
まだ『SAI2』で動かなかったり、起動・終了操作がわかりにくく煩雑なので、そういった部分を改善しようと思っています。AutoHotkeyについてもまだ理解を深める必要を感じていて、実装方法を工夫することで自分のプログラミングスキルの足しにもなればいいなと思っている節もあり、勉強しながらやっています。

raytrektabでお絵描き

「TrayKey」を使ってみた林田さん

林田様アイコン
……これはいい、CLIP STUDIOとは思えない……ハガキ大くらいの大きさで描けますね。イベントで展示したらみなさん「えっ!」ってなる気がします! 

――早く誰でも使える形になるといいですね。

hel様アイコン
プログラミングの部分でちょっと詰まっているんです。勉強しながらなので……

――ぜひがんばってください! なお、他に気になった点はありませんか?

hel様アイコン
raytrektabに限らずですが、最近のタブレットPCの標準状態では「SAI」などのペイントツールで筆圧感知ができないんですよね。「SAI2」ならちゃんと筆圧検知して描けますが、SAI2もまだ開発中で正式版は出ていないので……
林田様アイコン
Microsoftさんの方針で、SAIやAzPainter などのペイントツールが標準状態では筆圧感知が使えないんですよね。対応策はありますが、弊社内でその環境が完全に再現できていないので「できます!」と公式には言えない状況です。
hel様アイコン
あと、充電した時にLEDが赤く点灯するんですが、点滅することもあって、ハードウェアの仕様に関する説明書がないのが気になりました。また、カラーキャリブレーションの仕方やmicroSDとハードに相性問題があることなど、お絵描きタブレット初心者向けのデバイスだからこそ、分かりやすく説明したマニュアルや案内のようなものなどもあった方がいいと思います。
林田様アイコン
ありがとうございます。案内はWebで公開するのでもいいかもしれませんね。raytrektabは引き続きサポートと開発を続けたいと考えています。ご指摘いただけるのは本当にありがたいです。 

raytrektabの使い方

raytrektabとiPad Proとの違い、こんな人にオススメ

――それでは最後にraytrektabに今後期待したいことについてお願いします。

hel様アイコン
raytrektab現行モデルと同じコンセプトのお絵描きタブレットPCを、今後も継続して販売してほしいです。というのも、先日iPad Pro に CLIP STUDIO PAINT のiOS版がリリースされ、人によっては比較される方もいると思いますが、サイズが大きい分、気軽に描けるようなものじゃないですから、全然性質が違うものだと思っています。

あと、5万円という価格もいいですね。将来絵を描きたいけど現状お金がなくてPCは買えない人にも手に取ってもらえる、というのは、意義があると思います。iPad Proはペンなど込みだと10万円近くかかるうえにソフトは月額ですので維持費もかかる。

この大きさで、この軽さで、この値段というのはraytrektabが唯一だと思っています。なので、ぜひこのコンセプトでシリーズとして継続してほしいです。
林田様アイコン
ありがとうございます。おっしゃる通りで、iPad Pro版が出たときに「えーっ!」という声もあるにはあったんですが、やはり性格が違うと考えています。

iPad Pro はサイズ的にもスペック的にも業務用の、PCに併設して使うタイプのもので、raytrektabはこの1台だけでいつでもどこでも気軽にお絵描きを楽しむのに使うもの。

ただ、あれが出たことで「PCレスで、液タブで絵を描く」ということにみなさんの興味が向いたようなんですね。その影響かTwitterのトレンドワードにraytrektabが入ることもありました(笑)。用途に応じて選んでいただければいいのかな、と思っています。
hel様アイコン
パソコンにつなげて使うタイプの液タブやiPad Proと画面サイズだけで比較してしまっている人もいるようなので、メーカーさんからもっと積極的にその違いを発信してほしいです。

――では林田さん、raytrektabの導入を検討されている方にコメントをお願いします。

林田様アイコン
デジタルでのお絵描きにチャレンジするにあたって、デジタルにはデジタルの描き方があって、そこはやはり練習しないとダメです。そこでデスクについてパソコンを立ち上げて……となると、働いている人だったりするとそこでもうできなくなってしまう。

液晶画面に直接描けて、気軽に使えて練習をたくさんできる。今描きたい、というときに、すぐ描ける。何も考えずにすぐに使えるデバイスがあれば「デジタルで絵を描く」ということに対する感覚が変わるんじゃないかな? と、そんな思いがおこがましくもあって、この製品を作りました。

ソファに寝転がりながらでも、寝る前にベッドの中でも、いくらでも描いて失敗して、消して、トーン貼って、はみ出して、やり直して……と、いくらでもできるので、いっぱい描いていっぱい上手くなってほしいです。

――helさん、林田さん、ありがとうございました!

(著:いしじまえいわ)

 

『raytrektab』の詳細を知りたい方は以下のボタンからどうぞ!

Wacom feel IT technologiesを搭載した筆圧感知ペン付き8インチタブレット。

4096階調の精細な筆圧感知とレスポンスの良さは、まるで本物の紙に描いているようななめらかな描き心地を感じさせてくれます。

keyboard_arrow_right 特設サイトへ
raytrektab