色素が薄い髪色を描いてみよう! 髪の塗り方メイキング
2020.04.03
今回は髪の描き方講座。キャラクターイラストを描く上では必須となる髪ですが、自分好みの塗りに仕上げるには試行錯誤が必要です。そこで一例として暗めの髪色の描き方をメイキング形式でご紹介します。
▼目次
キャラクターのイメージに合った髪型を考えていきましょう。
今回はおとなしくファッションに無頓着な少女を描くことにしたので、設定に合わせてラフを調整していきます。
内巻きに揃えると美意識が高そうだったり、丸いシルエットが優しそうに見えます。まっすぐにすると大人しい印象になります。さらに、レイヤー(段差)を入れるとワイルド、元気な印象なりますので、大人しい印象のストレートヘアに少しレイヤーを入れて無頓着さを出してみました。
髪型が決まったら塗りつぶして全体のシルエットを確認しましょう。
髪型は下描きで整え過ぎず、ペン入れしながら細かい部分を調整します。
ラフの段階で軽くレイヤーを入れ、外ハネを加えましたが、まだ大人しい印象なので流れに逆らう遊び毛を描き足してぼさぼさ感を強めました。
バケツツールで色を流し込みます。線画の下は塗れていないので丁寧に塗りつぶしてください。瞳にかかる毛先に消しゴムで軽く消すと馴染みが良くなります。
頭は球体なので立体感が出るように影を入れましょう。球体の立体感と髪の束感を同時に塗ろうとすると失敗しやすいので、それぞれ分けて考えるのがコツです。
今、塗っているのは頭の丸みなのか髪束が作る凹凸なのか意識しつつ塗っていきましょう。
まず明るいところから塗っています
肌が透けている部分は肌色、髪の内側(首回り)は肌を反射しているイメージで明るい色を入れます。回り込んだ奥の髪には青を置いて奥行きが出るようにしました。
どの部分を光らせれば違和感がないか頭や髪の形、光の方向などを考えて決めてください。
髪の流れに沿って形を整えます。ぼかしを使いすぎると髪の毛がぬるっとした質感になるのでエッジを立てて固めに描写しましょう。ハイライトはH型と◇型のかたちを意識して描くと、それっぽくなります。
光源を斜め上に設定したので側頭部には強く光を当てました。おでこの辺りは消しゴムを掛けてハイライトを弱めています。内側の髪もそんなに光らないと思うので消して弱めました。
ハイライトに沿って暗くすると違和感が出にくいです。色はベースの髪色と同じです。
毛束を意識してサラサラに見えるように流れを描きましょう。
影レイヤーのみ表示すると上図のようになります。場所によっては影が暗すぎたのでレイヤーをロックして色を変更しました。ハイライトを入れたときと同じく、肌が透けている部分は肌色、髪の内側(首回り)は肌を反射しているイメージで明るい色を入れます。回り込んだ奥の髪には青を置いて奥行きが出るようにしました。
白の強いハイライトのみだとコントラストが強すぎるので薄く光を入れます。
ハードライトレイヤーを作成し、髪色に近い明るい青緑を選び、頭頂部や前髪の部分にうっすらとハイライトを入れました。
この少女が青いライトを浴びている訳ではなく色数が少ないので増やして絵を華やかにしたいという意図です。現実的ではない表現なので使う色は何色でもいいと思います
一部分だけ仕上げていくと絵がちぐはぐになってしまうので、仕上げをする前に他の部分も塗り終えます。
青緑が強く瞳の紫が浮いているので色相・彩度・明度から色相を選び青寄りに調整しました。ベースの色を変更しただけで、ハイライトや影色はそのまま使っています。
気になった部分に加筆修正していきます。身体や顔も一緒の色を使って仕上げていくことで全体に統一感が出ます。
耳の上の部分や前髪、ブレザーの襟など影を入れすぎて黒く潰れているところに、灰色に近い紫を塗りました。
奥行を出したい部分に青灰色を塗ります。肩の部分の髪は奥にありますが元の絵だと前後感が分かりにくいので前後をはっきりさせました。同時に肩にも同じ色を塗って色合いに統一感を出しています。
キャラクターの輪郭に強い光を描き加えます。これは、光と陰の境界部分の彩度が上がってみえることをデフォルメした表現です。
色味は華やかさを出すために、絵全体に使っている青の補色である黄色を使用しました。
最後におくれ毛や潰れてしまった毛先を描き足せば完成です。
イラストレーター。ソーシャルゲームのカードイラストを中心に、3DS用ゲームの背景や食玩のオマケイラストなどジャンルを問わず活躍。Webのイラスト講座なども多数手掛ける。
ホビージャパンより著書「CLIP STUDIO PAINT キラキラの描き方 宝石・鉱物・金属などを輝かせる塗り絵テクニック」好評発売中。
Twitter:https://twitter.com/tamaki_mitune