光と影の入り方で印象を変える!雰囲気のあるイラストの描き方

光と影の入り方で印象を変える!雰囲気のあるイラストの描き方

人物や風景イラストをより魅力的に、美しく魅せるためにレイヤー効果は欠かせません。

ですが、どんな風にレイヤー効果を入れたら雰囲気が出るのか迷ってしまう人も多いのではないでしょうか。

 

今回は光と影を用いた、雰囲気のあるイラストの描き方をメイキングで解説していきます。

 

▼目次
加算と覆い焼きの違い
イラストメイキング
 構図の決め方
 ラフ
 線画
 彩色
光と影を使った演出テクニック
 影の追加
 光の追加
 リニアライト
 加算発光
 オーバーレイ
 エフェクト効果の追加
まとめ

 

加算と覆い焼きの違い

 

使用ソフトはCLIP STUDIO PAINTです。

まずは、今回の講座の重要ポイントである光の表現に使うレイヤー効果「加算発光」と「覆い焼き発光」の見え方の違いを簡単に紹介します。

 

加算発光を使用すると柔らかい印象の明るさが出せます。覆い焼き発光は加算発光よりも強めな印象の光り方になります。

 

そのため、柔らかく光らせたいときは加算発光、強い光を表現したいときは覆い焼き発光効果を使う……というように、絵によって効果を使い分けると良いでしょう。

イラストメイキング

構図の決め方

構図を決める際に、迷ってしまう方も多いかと思います。

 

日頃から外や家の中で「この光の入り方は好きだな」だとか「この景色は素敵だな」と感じたら写真に撮っておきましょう。それをイラスト制作の際に思い出して参考にすると、構図を決める際に役立ちます。

 

特に、光と影は日常の様々な場面で見ることができるため、日ごろからよく観察をしておくことがとても大切です。日々の中で自分の「好きだな」と思うことを頭の中にメモしておくと良いでしょう。

ラフ


まずはラフを描きます。
ラフの時点で光源を決めて、大まかな影と光を描き込んでおくと良いでしょう。

 

今回は逆光のイラストにしようと考えたので、人物全体に影を入れていますアサガオの隙間から光が漏れるような感じになるように描きました。


 


光レイヤーと影レイヤーは上図のように描き込んでいます。この時点でコントラストのバランスを確認しておくと良いでしょう。

線画


構図ラフが決まったら線画を描きます。

ラフの印象を変えないように留意しつつ、丁寧に整えて描いていきます。

彩色


続いて彩色です。まずは線画を元に色分けを行います。

 


その後の彩色はこちら。

今回は塗り方講座ではないので細かな説明は省きます。

光と影を使った演出テクニック

彩色が終わったので、ここから本題である光と影の演出テクニックの手法を紹介します。

影の追加


影から描き込んでいきます。人物と背景に分けて、深い緑色で影を入れました。



影レイヤーの不透明度を約70%まで下げます。

影の色が深い緑だけだと重たく感じたので、人物の上半分に青寄りの明るい緑をエアブラシで足しました色数が多くなるので見ごたえのあるイラストにもなります。


影を削って調整します。影レイヤーにレイヤーマスクをつけてあげると、影を削っても、その後にやり直せるのでオススメです。

 

今回は後ろから光が射している逆光の状態なので、人物の外側の影と、花の透明感を出すために重なっていない部分の影を中心に削りました

これで影の描き込みは完了です。

光の追加

リニアライト、加算発光、オーバーレイのレイヤー効果を活用して、光の描写を追加していきます。

リニアライト


リニアライトのレイヤー効果を使って光を入れていきます。

 

メインの色合いを緑にしました。レイヤー効果をリニアライトに設定し、明るめの緑を画面の右半分と、左上部あたりにエアブラシで追加しています。このレイヤーの不透明度は約40%まで下げました。

加算発光
 



次に加算発光レイヤー朝顔の隙間の白い部分に、オレンジ寄りの黄色をエアブラシで入れました。大まかに色を入れたら、レイヤーの不透明度を約50%まで下げます。


この上にもう一枚加算発光レイヤーを作ります。


人物を中心に、隙間から差し込む光シャープな筆で放射状に入れていきますバランスを見ながら光を削ったりなどして微調整した後、レイヤーの不透明度を57%に下げました。

オーバーレイ
 
次にオーバーレイを使って、光を追加します。

 

エアブラシを使って、加算レイヤーの周りをメイン濃いオレンジ色を置いていきます。見た目の印象を大事にし、大まかに入れて構いません。光を入れ終えたら、こちらのレイヤーは不透明度100%のままにしておきます。

 

これで光の描き込みは完了です。

エフェクト効果の追加


最後の仕上げに光の粒などのエフェクト効果を追加します。

 

覆い焼き発光レイヤーで、チリなどを加筆しました。また、雰囲気が出るように虹色の輪っかを入れてみました。仕上げのエフェクト効果については絵のタッチや好みで調整すると良いでしょう。

 

これにて完成です。

まとめ

  • 日常の光と影を記憶しておく
  • 構図と光源を決めておく
  • 影や光は一色にしない
  • 光や影の入り方は雰囲気も大事にしていく

 

以上のことを留意しながら描いていくと、雰囲気のある絵ができるのではないかな、と思います。

日常の素敵な景色を日々探して、イラストに取り込んでいきましょう。ありがとうございました!

著・画 セカイメグル

フリーランスのイラストレーター、九州在住。書籍・ライトノベルの装画や広告マンガなど、幅広く活躍中。

 

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