ボンジュール!フランスの漫画専門出版社Ki-oon(キューン)のキムです。もう2018年2月に突入しましたね。本社の方では、2月・3月というのは夏の大祭りの準備に取り掛かり始めるタイミングです。それは、欧米最大の漫画祭ジャパンエキスです!
毎年7月にパリの郊外で開催されるこのイベントにおよそ25万人が集まります。
漫画とアニメのみならず、ゲームやJ–ポップ。あるいは日本の伝統的な文化を紹介する場として日本を愛する者を惹きつけ、近年日本でも報道されるくらい巨大化しています。
日本を代表するオタクイベント『コミケ』の50万人と比較すると、その規模はまだ小さく感じるかもしれませんが、フランスでは文化的なイベントランキングにおいて、4位にランクインしています。
ちなみに1位は国際モーターショー、2位はパリ農業祭、3位はパリ万博です。そういう主流感のあるイベントのすぐ次に出てくるのは、日本関連のコンベンションです。この地位の高さはフランスの日本に対する憧れの印であると言っても過言ではありません。
ジャパンエキスポはコスプレ披露のチャンスです!フランス人の多くが日本人と同様のアニメ、漫画、ゲームキャラに憧れて育ってきました。
▼目次
ジャパンエキスポの人気の秘訣とは?
ジャパンエキスポは2000年に誕生しました。『ドラゴンボール』、『美少女戦士セーラームーン』、『キャプテン翼』、『AKIRA』など、日本のヒット作品がフランスでも放送されていた80年代・90年代に育った世代が、アニメ放送と漫画の翻訳版の販売開始のおかげで、日本のポップカルチャーへの興味が深まったころです。
オタク文化自体はそれほど拡大していませんでしたが、初回のジャパンエキスポには、2,500平米のスペースに3千人以上も集まりました。
2000年代に入ってからは、漫画市場がコミック市場の三割以上を占めるようになるくらい成長し、ジャパンエキスポの規模も当初の2,500平米から125,000平米に広まります。四日間で25万人もの入場者数を記録する一大イベントと化したのです。
入場者数が爆発的に増えたので、2006年からパリ郊外の大手コンベンションセンターで開催されています。
入場料がかかるにも関わらず、なぜそんなに若者が殺到するのでしょうか?
一番の目玉は他ならぬ日本人のゲストです。原哲夫先生(代表作『北斗の拳』作画)や真島ヒロ先生(代表作『FAIRY TAIL』)、きゃりーぱみゅぱみゅやももいろクローバーZ、『ゼルダの伝説』シリーズのプロデューサーの青沼英二、名アニメ監督の神山健治(『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』、『ひるね姫』)などなど、毎年業界の偉人がジャパンエキスポに参加してくださっています。
今年はすでに『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』の監督・羽原信義と『コブラ』の著者・寺沢武一先生の渡仏が発表されています!
家族や恋人と一緒に楽しめるお祭り
ジャパンエキスポだけはなく、出展する会社もゲストを招待することがあります。
弊社は毎年漫画家を招待し、サイン会やトークを開催しています。去年は望月淳先生(『PandoraHearts』)の参加のおかげで大変盛り上がりました。何百人もの読者が会いに来てくださり、ブースは四日間、大興奮しているファンに囲まれました。
『PandoraHearts』は弊社の大ヒット作品の一つです。望月先生にお会いできるだけで、涙を流す熱狂的なファンが多くいらっしゃいました。望月先生もフランスを気に入ってくださったようで、新作『ヴァニタスの手記』の舞台をパリにされました。
ジャパンエキスポは漫画読者のファンにとって、自分の熱意を年に一回爆発させるチャンスです。
一年前から貯金したり、コスプレを作ったりして準備する人が珍しくありません。コミケと異なり、同人誌狙いで来場する者は少数派で、ほとんどの来場者は商業ブースでのアトラクションを楽しんだり、新発売の作品を買ったり、招待された著者のサイン会に参加したり、ライブや映画を観に行ったりしています。
また、コミケとのもう一つの相違点は、友達や家族、恋人と一緒に楽しめる大祭りであることです。
赤ちゃんを連れている親も、孫を連れてきたおじいちゃんおばあちゃんを目にすることも度々あります。その上、オタク向けのスピードデーティング(合コンの一種)コーナーもあるので、ジャパンエキスポで恋人を作ることもできます!
カップル同士、友達同士、子供連れの来客など、とにかく一人で行く人が逆に少なく、カップルも誕生したりします!
漫画出版社にとっては避けては通れない道である
こんな多くの若者が集結するフェスタは漫画、アニメ、ゲーム関連企業にとって重要なイベントであり、主要な会社のほとんどが毎年出展しています。
ある意味参加せざるをえません。その場にいなければ、「何かトラブルでもあるのでは?」と懸念され、会社のイメージに傷がつく恐れがあるからです。
また、開催期間中の販売部数は通常の数週間分の販売部数に比しているため、プロモーションの場としては見逃せません。
広くて綺麗なブースを設営したり、サイン会やイベントを開催したりし、来客の注目を引きます。2016年のブースで、ヒット作品『王様ゲーム』の作画担当者・連打一人先生を招待し、新作『オキテネムル』を大幅に宣伝しました。
ジャパンエキスポの準備に毎年全力で色々な宣伝を実施しております。
去年は、上記で述べた通り、望月先生を招待しましたが、それだけではありません。フランスの漫画家のオリジナル作品も発売し、サイン会を行いました。更に、メインブースの他、『僕のヒーローアカデミア』の特設ブースも設営し、様々なアクティビティーを主催しました。
去年は望月先生の新作『ヴァニタスの手記』の宣伝コーナーのみならず、大ヒット作品『僕のヒーローアカデミア』の特設ブースも設営しました。また、『Outlaw Players』を始め、オリジナル作品も宣伝し、巨大画面でアニメ予告を流し、サイン会を毎日主催しました。
準備が大変ですが、私たち漫画業界の人間にとっては、お客さんと直接に触れ合う貴重な機会です。感動している読者を見ると、仕事のやりがいが実感できます。
ほぼ一年中オフィスにこもっている出版社の人間の私たちにとって、ジャパンエキスポが読者との大事な交流の場です。弊社の編集社員(右の写真、左側)も漫画ファンとして楽しんでいます!
今年のジャパンエキスポの楽しみ!
私にとって今年のジャパンエキスポは特別な意味を持ちます。なぜなら、私が担当している4つの作品がついに、今年のブースで販売されることになります!
発売時期の順番で言いますと、子供向け作品『モモとタイヨウノツカイ』( "Momo et le messager du Soleil") by佐々野まりえ、青年漫画の感動的な短編集『新しい空の下で』("Sous un ciel nouveau") by平井志と藤井慶、リアルタッチのファンタジー青年漫画『Lost Children』by隅山巴文、そして絵本風のかわいいファンタジー少年漫画『Beyond the Clouds』by にっけを今年発売する予定です。
その作品を購入してくださる読者を目にしたら、泣く自信があります。今年のジャパンエキスポがとっても楽しみです!
『モモとタイヨウノツカイ』(Momo et le messager du Soleil)はフルカラーで、左開きの漫画です。3月発売予定です!
『新しい空の下で』(Sous un ciel nouveau)がデラックス版として4月に発売されます。
残酷な世界を変えようとしている者の戦いを描く『Lost Children』が5月発売予定です!
壮大なファンタジーの世界を描いている『Beyond the Clouds』が7月発売予定です!
オリジナル作品といえば、弊社の看板作家・筒井哲也先生の新作『NOISE』も今年の9月に発売する予定です。
前作の『予告犯』と『有害都市』と同様、日本語版とフランス語版の制作を同時に進めており、日本では集英社のグランドジャンプで連載中です。是非ご覧ください!
http://grandjump.shueisha.co.jp/manga/noise.html
漫画企画を募集中です!
Ki-oon公式ウェブサイト(フランス語のみ) : http://www.ki-oon.com/
東京オフィス連絡先:
代表名:キム・ブデン
住所:c/oフランス商工会議所
〒102-0085東京都千代田区六番町5-5 飯田ビル
メール:kim@ki-oon.com
電話番号:03-6824-9596
Ki-oonの東京オフィス代表キム・ブデンについて:講談社の国際事業局で四年半働いた後一旦帰国、三年半フランスの漫画出版社・PIKAの編集長として勤め、2015年の10月からKi-oonの在日オフィス代表として日本に戻り、現在に至る。
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