「人物のデッサンはきちんと取れているはずなのに、なぜか不自然」その原因は衣服の描写にあるかもしれません。衣服の構造を理解すれば作品全体のディティールアップに繋がります。
そこで今回は基本的な衣服(シャツ・スカート)の構造と、描く際のポイントについて解説します。シワやスカートの描き方など、服の描写が苦手な方は是非ご参考ください。
▼目次
シャツの構造:描き方のポイント
シャツの基本的な構造、各パーツの名称
シャツの基本的な構造、各パーツの名称について解説します。
身頃や袖は一般的に布一枚です。着用した人物の姿勢や動作によりシワが顕著に現れるのはこの部分。特に肩や腕の関節周りは大小様々なシワが発生しやすい箇所です。
布の重なり、つまり、厚みのある「襟(えり)」「カフス」「ボタン周り」は曲げる、ひっぱるなどの意識的な力をかけなければシワや折れ目、伸びの具合は小さくなります。
シワの入れ過ぎに注意!
「襟」「カフス」「ボタン周り」などに身頃や袖と同じ力加減でシワの描き込むと、かえってリアルな印象が失われてしまうことがあります。
シャツに限らず、布地は重なり・重量・厚み・素材によってシワの寄り方に違いがあるので、その特徴を意識して作画することが衣服をディティールアップして魅せることに繋がります。
男女で異なるシャツのデザイン
体型の特徴が異なる男女には、シャツのデザインにも違いがあります。
よく間違えやすいのが合わせの部分です。男性用、女性用でシャツの合わせが異なります。男性用シャツの合わせは左、女性用は右です。
ペイントソフトなどでキャンバスを反転した状態で描写した際、合わせが逆にならないよう注意しましょう。ただし、カフスの合わせの順序は男女共通です。
また、女性のワイシャツ(ブラウス)には男性物にはない切り替え(※)が入っていることも。
※女性には胸部の膨らみやくびれが存在するため、男性に比べ立体的なボディラインに合わせてデザインのなされたシャツが一般的に出回っています。
例として、上図のように前身頃の脇や腹部の左右に切り替えが入っているものがあります。
スカートの構造:描き方のポイント
基本的なスカートデザインと裾のイメージ
スカートはウエストを一周する帯状のパーツと、その下の下腹部・太ももなど身体の一部を覆う身頃のパーツで出来ています。
代表的なスカートを上げると、これら4種類です。デザインも然ることながら、裾の違いにも注目してみましょう。
他にもスカートにはいろいろな種類のものが存在していますが、下記のように裾の輪によって2通りのパターン化を行えば、凝ったデザインの物を描くことになっても対応がしやすいでしょう。
裾の輪が大きい
輪が大きいほど身頃の広がりは大きく、動作による形状変化の度合いも大きくなりやすいです。
例:プリーツスカート、フレアスカート、フリルスカート
裾の輪が小さい
身頃は体型に沿うことが多く、時には足の開きの幅などを制限します。裾は楕円状になりやすいです。
例:タイトスカート、バルーンスカート
スカートを自然に描く方法
最後に裾の輪を活かして、スカートを自然に描く方法をご紹介します。
考え方としては、裾のリングとウエストの帯をつなげることです。
最初に円のアタリをとり、裾のリングを描き入れます。さらに、ウエストの帯を描き入れ、袖のリングと線を繋ぎます。最後に、ヒダやシワなどを描き込み完成です。
最後に
普段着ている衣服でも、改めて観察してみると手癖任せで誤って描いていた箇所が見つかったり、”らしく”見せる描き方の新しい発見に繋がるかもしれません。
基本構造が理解できれば、より複雑なパーツを伴った服やファンタジーな世界観の衣装などにも応用が効きますので、この機会に是非、手元にある衣服の観察からチャレンジしてみてください♪
著・画 PORI(ポリ)
フリーランスのイラストレーター及びデザイナー。ソーシャルゲームやPBWを中心にイラストのお仕事をいただいており、書籍の表紙デザインなどにも携わっています。趣味は読書、推理小説をよく読みます。菌類、昆虫などの色々な図鑑を見るのも大好きです。
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