漫画の基本のコマ割り。
一見、だれでも簡単に作れそうなコマ割りですが、実際は読みやすく見せるための工夫があちこちに盛り込まれています。
そんな簡単なようで奥の深いコマ割りのノウハウを、
- マンガ初心者向けの内容
- 経験者向けの実践テクニック
に分けて、幅広くご紹介します。
▼目次
《マンガ制作初心者向け》コマ割りの基本
まずはコマ割りの基本をご紹介します。
コマの進め方
マンガ原稿の基本枠に沿ってコマを割ります。右から左、上から下という順番で進めるのが基本です。
基本的なコマの数
1ページに5~7コマ程度が平均的なコマ数です。
コマ間の距離
原稿作成時に左右の間は2ミリ、上下の大きさは5ミリあけるのが一般的。
左右間のコマを上下間より狭くすることで、隣のコマに向かって読み進みやすくしています。
断ち切りコマ
基本枠を飛び出し、原稿の断ち切り枠にかかるコマです。他のコマより目立つので印象や迫力をつけたいシーンに使うと効果的です。
ページの内側(ノド部分)はなるべくコマを入れない
開いたページの内側にあたる「ノド」に絵や文字があると読みづらくなります。
NGなコマ割りの例
コマの数が多すぎる
コマ数があまりに多いと、中に入る絵やセリフが細かくなり、ごちゃごちゃした画面になります。
コマ割りが複雑すぎる
コマが複雑すぎると、読者はどの順番で読んだらいいのか分からなくなります。シンプルで見やすいコマ作りを心がけましょう。
《マンガ制作経験者向け》コマ割りのテクニック
ここからはコマ割りの応用編です。
まず、応用のコマ割りの一例を見てみましょう。
時間経過or場面転換の表現
絵やセリフを入れずに小さいコマを並べると、同じシーンで時間が経過したか、もしくは「一方その頃……」のように場面転換したかのような効果を出せます。
枠線のないコマを入れる
枠線のないコマは空きスペースとなり、一見締まりがないように見えますが、ここにキャラクターを入れたり、効果を入れることで新鮮なアクセントになります。
奇数ページの最後は「めくり」を意識して
奇数ページで最後にあたるコマは、読者が次のページをめくりたくなるかの重要なコマです。
ここに読者の興味を引くようなシーンを入れて、読み飛ばされないように心がけましょう。
連載漫画からコマ割りテクニックを学ぼう
現在連載されている漫画作品を参照し、コマ割りのテクニックを見てみましょう。
キャラをよく見せるコマ割りテクニック
上のページは実際にこのようなテクニックが使われています。
まず、場面転換をコマ割りで表現するために、小さいコマを重ねてフィードインさせています。
また、枠なしのコマにキャラクターの大きく描画し、あえて枠線をはみ出させます。すると、キャラの存在感が増します。
キャラ立ち、めくりを意識したコマ割りテクニック
枠線のないコマにキャラを描写しているのは、先程のシーンと同じですが、中央のコマに置くことで中央のキャラクターに高い注目効果が生まれます。
更にカットイン風のコマ効果や、めくりのテクニックも使っています。
このように、コマをどう配置するかだけでも色々な効果が出せます。思わずページをめくりたくなる、わくわくするコマ割りを早速作ってみましょう
著・画 両角潤香
漫画家、イラストレーター。主に角川系や電撃系の少年誌等で活動。ゲームやアプリのキャラデザインやイラストも多数手がける。
イラスト技法書制作やアミューズメントメディア総合学院東京校講師も行っている。2016年夏より月刊コミックアライブ(KADOKAWA刊)にて「クラウドヘブン-壊れゆく彼女-」連載中。
参考作品
『クラウドヘブン-壊れゆく彼女-』著:神楽武志×両角潤香
KADOKAWA刊 月刊コミックアライブ連載中。単行本1巻絶賛発売中。