「詳細ラフ」でイラストの良し悪しが決まる! 美麗イラストメイキング 詳細ラフ編
2016.09.28
クライアントから発注される仕事絵は指示書があって、シチュエーションがある程度固まっています。とはいえ、個人のイラストとなるとそこまで考えない方も少なくないのではないでしょうか。
趣味イラストやポートフォリオ用の個人制作イラストでも、設定を細かく固めるだけでイラストのクオリティは大きく変わってきます。
そこで現役イラストレーターや志望者が仕事や自主制作で役立つイラスト制作の考え方についてご紹介。
今回は「ラフ」段階にテーマを絞り、シチュエーションの描写と構図の作り方を押さえましょう。
「カッコいいポーズにしよう!」「カッコいいキャラや表情にしよう!」というのは良い印象を与えるための重要なこと。ですが、そのキャラの性格や職業、その他特徴に合った顔つきやポーズ、表情にしないと違和感が出てきて、描いていく上で行き詰まってしまいます。
仕事のイラストであればそう言った、カッコよさや可愛さと言った「パっと見の印象の良さ」と世界観に違和感が無い「シチュエーション(状況)の描写」、どちらのバランスも取れたものを描かなければなりません。印象だけを取ると、不自然さが表れやすく、見栄えに違和感を覚えますし、状況をリアルに描写するだけだと絵としての魅力が引き出せません。
その為、バランスの良い物にするためにはイラストを描く前に、設定を考えることが重要になります。
イラストを描く前には、少しでも多くの設定を考えると見栄えの良さに繋がるものを見つけることが出来ます。
設定の大きな基本となるのは、
1.環境(気温、気候)
2.時間帯
3.イラストのメインとなるもの(キャラクターなど)の性格
4.何をしている場面か
の4点です。これらはイラストに見応えを持たせる「基盤」でもあり、なにより描いている人自身が途中で迷ってしまわない為の「道標」になります。
これらの基盤に加え、1~2個の要素を足すことでイラストに個性を出していきます。ただ、この要素は少なすぎても、多すぎてもいけなくて、バランスが大切です。たくさんの設定を考えてから、不要な要素を削るとスッキリするでしょう。
それらを踏まえて今回は以下の設定でイラストを描いていきます。
メインとなるものは決まっていますので、次は設定の中から「次点で見せたい部分」を決めましょう。先ほど説明した「プラス要素」がこちらに値することが多いです。
今回の設定の場合、プラス要素である
を見せたい部分にします。
プラス要素以外にも、重要度が高いものがあります。それが「顔」です。
キャラが人間であれば男女問わず、顔の美しさとカッコよさ、かわいさの重要度が高くなりやすいです。
他にも女性キャラであれば、顔や髪の美しさ、露出はしていなくてもボディラインを強調し、手が前に出ているイラストであれば指の綺麗さが重要になる場合があります。
考えた設定からラフを描いてみました。
ただ、これだとメインの少年に目が行き過ぎて重要な要素(今回のイラストで言うとドラゴンの部分)をつけた意味があまり感じられないので、それだけでもあまり面白くない絵になってしまいます。
ラフを描き直して、キャラの顔の角度を要素(ドラゴン)に向けて、要素との距離感を縮めました。
ただ、視線は攻撃をしている方向のままにしています。というのも、視線も要素(ドラゴン)の方に向けてしまうと、こちら側に攻撃をしているのに、よそ見をしているように見えてしまいます。大げさな例ですが、こういったバランスの取り方がなかなか難しいです。
このように構図は、見せたい「プラス要素」と「基盤」がしっかり噛み合っているかが重要です。
趣味のイラストであれば、「印象の良さ」と「状況の描写」は多少崩れても問題は無いですが、ポートフォリオに載せる絵など、仕事を意識したものになるとやはりバランスを考えて描いたほうが、絵を見た人に良いクリエイターとして認識してもらうことが出来ると思います。
要するにカッコいい、かわいいだけの偏ったイラストより、設定面でのバランスも取れているイラストの方が魅力的なものに仕上がることが多いということです。ただ、女の子キャラは可愛ければOK!というのも多く、例外もあります。
今まで設定をあまり意識していなかった方は、少しでも意識して描くと変わってくると思いますので、この記事をきっかけに意識の変化があれば幸いです。
続編となる記事はこちら。
[著・画: HAK.(はく)]
https://www.artstation.com/artist/yamato3298
絵描いてます。